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学科 | 社会学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 小林 久高 |
タイトル | ネットコミュニティと全共闘 |
内容 | 90年代半ばから、ウェブや汎用ソフトが社会に登場し、現在までのインターネットの世俗化をよんだ。情報化社会ではバーチャル空間における検閲を介さない同期的意見交換や、参加者の匿名性、アンダーグラウンドな公的議論などの、全く新しいコミュニケーション方式が現れはじめ、90年代末には若者層を中心に「2ちゃんねる」という世界最大の匿名掲示板が出現した。 本論ではまず、この2ちゃんねるコミュニティのもつ成員の参与構造の特徴を挙げ、コミュニティ成立の本質的要因に疑問点を残しつつ、特徴のひとつである「成員の地位の水平性」より「連帯の自己目的化」構造を導き出す。さらに参与構造の視点から、このコミュニティと類似するものとして、戦後最大の学生運動として史実にその名を残した「全共闘」コミュニティの存在を提示する。そして二者がもつ3つの大きな類似性と、全共闘コミュニティももつ「連帯の自己目的化」構造を述べたのち、“なぜ若者達は異なる時代に類似するコミュニティに熱狂したのか”という、疑問点として残された「成立における本質的要因」に目を向ける。 それは、アメリカの社会学者マーチン・トロウの「トロウ・モデル」を日本の教育史に当てはめると明らかになってくるのである。 |
講評 | 本年度の卒業論文は、文献をもとにした理論的研究、データの計量分析にもとづく論文、質的なデータ分析にもとづく論文と多様な方法を用いるものだった。 また、扱っている対象も、社会学の原点ともいうべき問題を解いた「宗教と科学」といったものから、現代的な問題を解く「就職活動の逆機能」といったものまでさまざまであった。 提出された論文はすべて、かなりの水準を示すものであり、執筆者が真剣に問題に向きあい、何とかその問題の構造や原因を明らかにしようとしている姿が文脈からありありとうかがえた。教員としてそういった論文を読むことは楽しくもあり、勉強になったことも多い。すべての執筆者の努力を高く評価するとともに、感謝したいと思う。 |
キーワード1 | 参加者の平等性 |
キーワード2 | 「タニン」との連帯 |
キーワード3 | 内輪的感動「連帯の自己目的化」 |
キーワード4 | トロウ・モデル |
キーワード5 | 雇用不安 |
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