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学科 | 社会学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 小林 久高 |
タイトル | 日本の児童虐待の現状と考察 |
内容 | 近年、我が国における虐待報告件数は増加の一途を辿り、もはや虐待行為を「異常」とみなして非難するだけでは済まない状況となっている。なぜ親たちは子どもを虐待するのか。いかなる状況が虐待を生み出しているのか。 多くの調査報告から、親、子、家庭環境それぞれの側の要因が絡み合って虐待が生じることがわかった。それらの属性がなぜ虐待に結びついているのかを考察するために、本稿では虐待という行為を人間の攻撃性の表出形態とみなすことで児童虐待を新たな視点から捉えなおす試みを行った。攻撃理論のなかでも特に、人間の攻撃性と欲求不満の強い関連性を主張する情動発散説の理論を使いながら事例を考察した結果、虐待を行う親はカタルシスを得るために子どもを攻撃しているという仮説が成り立った。そのことから、児童虐待を減らすためには、行き場を無くした親たちの不満の矛先が子どもに向く前に各家庭に余裕を生み出すことが重要であるという結論に至った。 |
講評 | 本年度の卒業論文は、文献をもとにした理論的研究、データの計量分析にもとづく論文、質的なデータ分析にもとづく論文と多様な方法を用いるものだった。 また、扱っている対象も、社会学の原点ともいうべき問題を解いた「宗教と科学」といったものから、現代的な問題を解く「就職活動の逆機能」といったものまでさまざまであった。 提出された論文はすべて、かなりの水準を示すものであり、執筆者が真剣に問題に向きあい、何とかその問題の構造や原因を明らかにしようとしている姿が文脈からありありとうかがえた。教員としてそういった論文を読むことは楽しくもあり、勉強になったことも多い。すべての執筆者の努力を高く評価するとともに、感謝したいと思う。 |
キーワード1 | 撃性 |
キーワード2 | 欲求不満 |
キーワード3 | カタルシス |
キーワード4 | 余裕 |
キーワード5 | |
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