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学科 | 社会学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 小林 久高 |
タイトル | 人はなぜ集団を形成するのか――〈畏敬の念〉の視点から―― |
内容 | 人は集団を形成して生活しているが、デュルケムはそれについて宗教から発生した現象であると言う。本稿の目的は、デュルケムの議論に基づき、人が集団を形成する理由を宗教の立場から論じることである。その過程として、人の集団形成と宗教の関係について相関分析を行った。しかし、現代の日本における宗教事情はちぐはぐな状態にあり、宗教についてどのように扱うかが問題であった。それを受けて、本稿ではデュルケムの宗教の定義から〈畏敬の念〉という人が内面に持つ宗教的要素に注目した。 〈畏敬の念〉と集団形成意識について相関分析を行った結果、〈畏敬の念〉が深くなると人は集団を形成する傾向が見られた。これは家族における集団形成意識に対しても同じであった。また、〈畏敬の念〉に比較的近い信念の「祖先崇拝」と職場における集団形成意欲について相関分析を行った結果、祖先を尊び敬う人は職場でも集団を形成しようとする傾向が見られた。 本稿の分析結果から、宗教的要素が大きくなると人は集団を形成する傾向にあることが言える。そして、この結果とデュルケムの議論を踏まえると、宗教が人の集団形成に貢献していると言うことができる。 |
講評 | 本年度の卒業論文は、文献をもとにした理論的研究、データの計量分析にもとづく論文、質的なデータ分析にもとづく論文と多様な方法を用いるものだった。 また、扱っている対象も、社会学の原点ともいうべき問題を解いた「宗教と科学」といったものから、現代的な問題を解く「就職活動の逆機能」といったものまでさまざまであった。 提出された論文はすべて、かなりの水準を示すものであり、執筆者が真剣に問題に向きあい、何とかその問題の構造や原因を明らかにしようとしている姿が文脈からありありとうかがえた。教員としてそういった論文を読むことは楽しくもあり、勉強になったことも多い。すべての執筆者の努力を高く評価するとともに、感謝したいと思う。 |
キーワード1 | 〈畏敬の念〉 |
キーワード2 | 「祖先崇拝」 |
キーワード3 | 「宗教の統合機能」 |
キーワード4 | 集団形成意識 |
キーワード5 | |
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