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学科 | 社会学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 轡田 竜蔵 |
タイトル | 本のあるコモンズが果たす役割―シェア型書店・シェア型図書館を事例に― |
内容 | 近年、本のある空間は多様化しており、従来の公立図書館や書店も単に本を並べて提供するだけの空間ではなく、試行錯誤を続けながら形を変えている変革期とも言える。 本稿では、一箱本棚オーナー制度を特徴としたシェア型書店・シェア型図書館という新たな本のある空間に注目している。行政でも、大資本でもない、「民間や市民がなぜ公共施設を運営するのか」という問いを基に、対象のシェア型書店またはシェア型図書館のオーナー、本棚オーナー(棚主)にインタビュー調査を実施した。結果から、このような空間が持つ価値や特性は地域性やオーナーの属性によって異なることが分かった。4つの調査対象が生み出す価値は、それぞれ「まちづくりにおけるコミュニティ」「趣味や娯楽におけるコミュニティ」「医療福祉におけるコミュニティ」にカテゴライズすることができた。民間による公共空間の運営は新しい事例であり、今後どのようなコミュニティを持つ公共施設が民間によって生み出されるのか期待が高まる。 |
講評 | 2000年代以降、公立図書館の予算縮小、ネット消費の普及に伴う書店の衰退への対応として、本のある空間を再魅力化する動きが起こり、独立系書店を開きたい人、私設図書館を開きたい人が増えた。2010年代には本のある空間をまちのサードスペース化しようとする動きが広まり、さらには書店や図書館を「シェア」するという方法が流行し、「本のある空間」づくりに関わるアクターはさらに増加している。本論文は、こうした最先端の公共空間の創造の試みを「本のあるコモンズ」とよんで注目し、4府県にわたる現場に実際に足を運び、取材した記録に基づく考察である。数々のクリエイティブな空間を通したコミュニティの形成の可能性が魅力的に記述されていて興味深い。図書館論、書店論、サードスペース論のそれぞれの先行研究の理論的文脈を深めれば、発展可能性の高い主題であると言える。 |
キーワード1 | 本のある空間 |
キーワード2 | 一箱本棚オーナー制度 |
キーワード3 | コモンズ |
キーワード4 | |
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