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学科 | 社会学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 板垣 竜太 |
タイトル | 体育会における上下関係の機能とその変化―コロナ禍における問題の顕在化に注目して― |
内容 | 本論文では、体育会における上下関係の機能がコロナ禍で部活動にどのように影響し変化しているかについて、自身の所属する同志社大學應援團チアリーダー部での参与観察やインタビューを中心に調査した。チアリーダー部では、厳しい上下関係が原因で毎年多くの退部者や、部活動への不満を保護者から顧問に連絡する事例などが発生し、今の時代にあった部活動への変革を大学側から求められていた。 そこでコロナ禍で一つの問題に向き合う時間が生まれ、マートンの機能分析を用いて調査した。その結果、今まで無意識に行っていた慣習などが顕在化され明文化することでその規則が持つ順機能・逆機能を考え組織にとって必要な規則であるかを考えることが出来た。また、元々順機能として作られた規則や慣習の中に潜在していた逆機能がコロナ禍を通してより強調されるようなものもあれば、もともと想定されていた順機能に加えて新たな順機能を見つけ出すことも出来た。 歴代の先輩により築きあげられた厳しい上下関係が存在する應援團の環境が、コロナで日本社会などの外部環境も大きく変化したことから、世の中とのギャップが生まれこのような改革へと強いられたのだ。 |
講評 | 本論文は、コロナ禍におけるチアリーダー部の規則や慣習をめぐる葛藤や見直しの過程を、機能主義的な観点より分析したものである。マートンの機能分析でいう顕在性と潜在性は決して固定的なものではない。特にコロナ禍では、それまでのルールや慣習を自明のものとして継続できなくなり、否が応でも、ひとつひとつ必要か不要かを意識的に取捨選択せざるをえない、つまり部員自らが機能分析せざるをえない状況が生じた。本研究は、かつて順機能を想定して導入された規則・慣習の潜在的逆機能が顕在化したり、逆機能を無くそうと規則・慣習を改変した結果、潜在的順機能の存在が意識化されたりといった興味深い事例が論じられている。著者があまりに問題の渦中にありすぎて分析の距離感が取れていない箇所もあるが、古典的な社会学理論の現代的応用として評価できる。 |
キーワード1 | 潜在的機能 |
キーワード2 | 上下関係 |
キーワード3 | 機能分析 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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