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学科 社会学科
年度 2023
ゼミ名 森 千香子
タイトル マレーシアにおける「華人」新村を再考する -マレーシアの民族境界から見る-
内容 本研究はマレーシアの半島部にある新村を対象に行った。新村はイギリスによる植民地支配で形成された集落である。当時マレー半島においてマラヤ共産党による反イギリス植民地支配の闘争を鎮圧するためにマラヤ非常事態が発令された。華人主体のマラヤ共産党の華人スクワッターから資源を断つために、多くのスクワッターを強制移住したのである。それが新村である。本研究の問いはそのような新村がなぜ華人新村と広く認識されることである。そのために、マレーシアにおける民族の意味を歴史的に探究しなければならない。まず、イギリスの植民地支配期間においていかにマレー半島に人種の概念を輸入したのかという歴史から考察する。次に、そういった人種概念はいかに植民地政策ひいては独立後の政策によって応用されるのかについて見る。最後に、そのような政策はいかにして民族集団の間に境界を作り出したのかについて考察する。
講評 マレーシアのnew villageは、冷戦構造と植民地支配の交差のなかで発生し、現在のマレーシアにおける民族間関係を理解する上でも重要な鍵となるテーマである。筆者はこのように日本ではまだほとんど知られていない問題について、多くの英語文献や歴史資料を参照しながら肉薄しようとした。筆者の豊富な読書量と高い理論構築能力、さらに鋭敏な感性と批判精神を持つ、研究者としての才能が、本論文を通して見てとることができる。ただし本論文では、new villageをどのように分析するのかについて複数の選択肢の中で迷ってしまい、筆者本来の能力が十分に発揮されたとは言えなかったのが残念である。筆者の今後の研究の展開に期待したい。
キーワード1 民族
キーワード2 境界
キーワード3 新村
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