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学科 社会学科
年度 2023
ゼミ名 森 千香子
タイトル 大衆文化コンテンツにおけるポリティカル・コレクトネス談話の分析 ――ディズニーを事例に――
内容  本稿では大衆文化コンテンツにおけるポリティカル・コレクトネス(PC)の在り方をめぐる談話から、日本的PCが迎えている局面の特殊性を新たにたたき出すことを目的とした。日本でも長らくメディアミックスの作り手として親しまれてきたウォルト・ディズニー・カンパニーのコンテンツのうち、PC的要素をもって論争を呼び起こしたメディアミックスおよびディズニーの企業としての態度を中心に形成されたオンライン上の談話を材料として分析した。大衆談話と批評家談話を分けて言説を読み解いた結果、各々PCへの同意と反感を示すという相違が見いだせた。そのうえで、コンテンツの作り手のメッセージ性を企業の態度として等値しており、PCの取り扱い方や社会的少数者問題という本質には談話の範囲が及ばないことが共通項として挙げられた。ひいては批判的談話分析の手法を用いてディズニーの談話と受け手の談話の関係を考察した。その結果、作り手が談話の構造の統制に影響を及ぼし、それが受け手の談話の単純化に繋がると見受け、現在の文化コンテンツにおけるPC談話からコミュニケーションの失敗という断面を提示した。

講評 本研究は、昨今ネット上で話題になっている「ポリティカル・コレクトネス」論争、すなわち映像やゲームなどのメディアにおいて少数者の表象を過度に優遇するような状況が広がっているとの批判、について関心を寄せたものである。筆者は日本における「ポリコレ」論争にどのような特徴があるのだろうかという問いを明らかにしようとした。筆者は英語や韓国語も含めた多くの文献を読破し、オリジナリティのある分析枠組みを構築しようと努力した。その点は評価に値する。また筆者がたてた問いも興味深いものであるが、検証する方法としてネット上の言説だけを集めるという方法には、やや疑問が残った。より時間をかけて多角的な方法で問いを深めることが今後の課題となるだろう。
キーワード1 ポリティカル・ コレクトネス
キーワード2 ディズニー
キーワード3 批判的談話分析
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