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学科 | 社会学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | 「おじさん像」の変遷について ―家庭および社会での語られ方に着目して― |
内容 | 中年男性を指す「おじさん」という言葉は、これまで研究対象になることが少なかった。そこで本稿では、1978年から2018年までのおじさん像の変遷を辿り、家庭および社会におけるおじさんの語られ方について分析を行った。おじさんに対する社会の価値観を年代ごとに調べるために5つの年代に分け、新聞記事を用いて資料分析を行った。分析の結果、「家庭での夫または父像」においては、かつての父親イメージにある厳格さが失われ、家庭での立場が弱まっていることが読みとれた。また、「社会でのおじさん像」においては、美意識の上昇傾向が顕著にみられた。近年では、2018年のドラマ「おっさんずラブ」の影響により、おじさんに対する社会の認識がポジティブな方向へ転換していることも推察された。以上の分析結果を踏まえると、支配―従属の関係性において、女性に評価される“弱者としてのおじさん像”があることが考察できる。しかし、必ずしも批判的な評価だけではなく、中にはおじさんへの好意的なイメージもあることが伺える。特に最近では、フィクション作品の後押しを受けながら「社会に肯定されるおじさん像」がつくりあげられているといえる。 |
講評 | 本稿は、中年男性という、分析対象にされにくかった人々に対する言説の変遷を検討したものである。研究方法は新聞記事のテキスト分析であり、社会での「おじさん」の書かれようの変化を議論している。データは新聞記事で、1970年代の高度経済成長期から10年毎に「おじさん」に関するものを丁寧に抽出し、バブル期などの男性優位な規範によって社会的地位が付与された「おじさん」の描写から、現代までの中年男性の「弱さ」が「かわいい」と女性に評価されるまでの変化を検討している。本稿は一見、平凡なテーマのように見える「おじさん」を対象にしたものであるが、分析パートで示した内容から、考察を行う際に言説から読み取れる「おじさん」と社会との関係についての概念的展開が非常に興味深く、よい論文に仕上がっている。 |
キーワード1 | おじさん |
キーワード2 | スティグマ |
キーワード3 | ヒエラルキーの逆 |
キーワード4 | 美意識の変化 |
キーワード5 | フィクションの影響力 |
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