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学科 | 社会学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | だんじり祭りにおける担い手不足とそれに伴う祭りの在り方の変容 |
内容 | 本稿では、大阪府東大阪市にて行われるだんじり祭りを手掛かりとして、祭りの担い手や継承にどのようなアクターが関わっているのかを調査し、担い手間の参与形態や女性の参与の仕方が伝統継承にどのような効果をもたらすのかを明らかにした。離脱の増加要因と新規参入の減少要因、組織の性格が複雑に絡むことで慢性的な担い手不足が生じていた。その現状を打開するべく、祭り運営組織は在り方の変容が求められる時期に差し掛かっている。その変容の1つとして女性の参入は肯定的に捉えられており、女性の持つ顕在的・潜在的機能が組織にとってプラスに作用しているため受け入れも認められる動きがある。だんじり祭りは元々女人禁制の文化だったものの規範もその時代の人々の価値観の変化によって溶け出し、祭りの在り方を定め直す機に差し掛かった時、在り方が模索されその姿は変容し、伝統がつづいていくのではないか。 |
講評 | 本稿は大阪府東大阪市のだんじり祭りを調査対象に、祭りの担い手、後継者に関する地域での制度的発展の違いを比較検討したものである。祭りの場合、どの地域でも人口減少、就業構造の変化から、自営業主が減少し、時間的制約が高い被雇用者の住民による祭りの準備態勢の脆弱化に頭を悩ませる地域が多い。本研究の対象地域でも担い手、後継者不足に危機感をもち、また、祭りの始まりの経路依存的な流れから、女性の祭りへの直接的な参画にオープンマインドな気質があることが調査から示されている。そして若い世代の台頭とともに従来の方針が否定され、新しい方針になったことが、祭りへの外部協力者である地域住民の理解を得ることを困難にさせてしまうというジレンマが起こっていることも示されている。新しい方針、オープンマインドというエネルギッシュで次世代を示すようなキーワードに溢れた取り組みをした地域での祭りの継続が危機的な状況であることが述べられている。他方で性別役割分業が崩されず、女性の祭りへの直接参画を認めない岸和田地域のだんじりは長い歴史があり、祭りの運営方針が明確であり、地域からの理解も深く、祭りの継続が強固に守られていたことが本調査で明らかにされている。本稿では、伝統、格式、継続、などを前にした時、祭りの継承、新しい方針による運営の難しさ、「変化=順調」とは言えないジレンマが描かれている。 |
キーワード1 | 都市祭礼 |
キーワード2 | 伝統継承 |
キーワード3 | 女性 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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