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学科 | 社会福祉学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 鈴木 良 |
タイトル | マルチ商法2世の生活史-家庭と社会におけるアイデンティティ管理の経験- |
内容 | 本研究の目的は、マルチ商法会員の元で育ったマルチ2世が、どのような経験をしてきたのかを、当事者の生活世界に着目しながら説明することで、マルチ2世の能動的存在としての側面を明らかにすることである。 「マルチ2世」とは、マルチ商法会員を親に持つ者の当事者性に注目したカテゴリーを意味する。 本研究では、マルチ2世を対象にインタビュー調査を行い、その生活史から分析される当事者の経験を、自己防衛機制としてのアイデンティティ管理の視座から解釈した。 研究の結果、マルチ2世のアイデンティティ管理において2つの戦術を明らかにした。第一の戦術は、マルチ2世は家庭-社会双方に対して規範的役割であることを常に呈示することを通して、自らのアイデンティティを逸脱だとみなされないように管理することだった。第二の戦術とは、マルチ2世としての語りを通して、親から期待された規範的役割を問い直すことだと分かった。 |
講評 | 本研究は、マルチ商法会員の元で育ったマルチ2世が、どのような経験をしてきたのかを、当事者の生活世界に着目しながら説明することでマルチ2世の能動的存在としての側面を明らかにすることである。このため、マルチ2世を対象にインタビュー調査を行い、その生活史から分析される当事者の経験を,自己防衛機制としてのアイデンティティ管理の視座から解釈している。 この結果、マルチ2世のアイデンティティ管理において2つの戦術が明らかにされた。第一の戦術は、マルチ2世は家庭-社会双方に対して規範的役割であることを常に呈示することを通して、自らのアイデンティティを逸脱だとみなされないように管理することである。第二の戦術とは、マルチ2世としての語りを通して,親から期待された規範的役割を問い直すことである。 筆者は、自らの経験を踏まえて、本研究のテーマを分析している。近年、宗教2世が社会問題化し、当事者の生活困難が浮き彫りにされるようになった。一方、マルチ商法については、その家族がどのような生活困難を抱えてきたのかということについてはほとんど研究がなされていない状況である。宗教2世というテーマは、マルチ商法の問題を含めて幅広く議論すべきテーマだと筆者は語る。 社会福祉学では、いずれのテーマも十分に取り上げられていない状況であり、ソーシャルワークがどのように取り組むことができるのか今後検討されるべきである。 |
キーワード1 | マルチ商法の親族被害 |
キーワード2 | マルチ2世 |
キーワード3 | アイデンティティ管理 |
キーワード4 | スティグマ |
キーワード5 | 逸脱の政治 |
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