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学科 メディア学科
年度 2023
ゼミ名 水出 幸輝
タイトル メディアとしての辞書ー規範・権威・プラットフォームー
内容  本稿は、言葉を媒介するメディアとしての辞書の性質について、プラットフォームの特性を指摘しながら論じたものである。具体的には、辞書序文を調べることで編集者の規範意識を考察した上で、電子辞書/ネット辞書のプラットフォーム特性が規範にどのような影響を与えるかを調べた。
 言葉の正しい意味を知るためだけに辞書を使う利用者の態度に対し、辞書編集者は辞書が道具のように扱われている現状を嘆いた。近年は辞書の電子化/デジタル化が進み可搬性などの機能性が向上したことで辞書の便利道具化が進んでいる。利用者が辞書に求める規範、編集者が辞書に与える規範のギャップは拡大するばかりである。さらに、ネット辞書の問題点として、ウェブランキング上位に表示される辞書の出典が同一であること、を挙げた。消費者が辞書を選ぶ機会が減り、広辞苑や大辞林などの収録機会の多い辞書に語釈が偏ってしまうことで、語意の振幅が規定される可能性を指摘した。
 以上、本稿では辞書を言葉を媒介するメディアとしての観点から分析したことで、辞書規範はプラットフォームの影響を大きく受けることが明らかになった。

講評  本稿は、「メディアとしての辞書」として、紙辞書、電子辞書、デジタル辞書をそれぞれに比較しつつ論じたものである。これまで辞書をめぐって論じられてきた「規範」や「権威」といった問題についての議論を辞書の媒体特性に注目することで、捉え返そうとした。
 問いの設定は興味深いものであったが、例えば「身体化」のようなキーワードがどのようなことを意味しているのか明らかにされないまま、なんとなく議論が進んでしまうなど、論証にやや問題を抱えている。解き明かしたいことに対し、どのような手続きを踏むべきか。また、手持ちの資料を活用し、どのように論理的に議論を進めていくべきか。こうした基礎な部分が課題として残った。
キーワード1 規範
キーワード2 権威
キーワード3 プラットフォーム
キーワード4 道具化
キーワード5 身体化
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