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学科 | メディア学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 水出 幸輝 |
タイトル | コミュニケーションメディアとしてのポケモン 通信交換と「開かれた」ゲームの世界 |
内容 | 本稿は「ポケモン」がコミュニケーションメディアとして果たした役割を明らかにすることを試みたものである。具体的には1996年に発売されたゲームボーイソフト「ポケットモンスター赤・緑」の開発に携わった人びとのインタビュー記事と、発売当時の子どもたちの生活環境や教育問題を調査し、「ポケモン」が当時どのように人々のコミュニケーションを生み出していたのかを分析した。 「ポケモン」以前、ゲームにおける通信機能は対戦がメインとされていた。また、ファミコンの流行やゲームセンターの発達により、ゲームに没頭し、その世界に閉じこもる子供たちが増加していく。同時に、当時の小中学校でも、子どもたちの個人化が問題視されていた。こうした社会と対応するように、ポケモンは対戦よりも交換をコンセプトとして開発された。他人とプレイすることが前提とされていたため、ゲームをする子どもたちには必然的にコミュニケーションが生まれていくことになる。 このように本稿では「通信交換」の機能を備えた「ポケモン」が、子どもたちの間にコミュニケーションを生み出すメディアとしてどのように存在していたかを明らかにした。 |
講評 | 本稿は、ゲームボーイソフト「ポケットモンスター赤・緑」の通信機能に注目し、日本のゲーム史の中での位置付けを論じたものである。 「ポケモン」というゲームはプレイヤーが主人公となり、ポケモン同士を戦わせるロールプレイングゲームとして理解されている。しかしながら、本稿で丁寧に描き出されたように、「ポケモン」は強さを求めるだけでない。あらゆるポケモンを収集してポケモン図鑑をコンプリートすること、さらに、その達成には通信ケーブルを活用したポケモン交換が必要不可欠であり、ゲームに没頭しつつも友達との関係を維持しなければならない。こうした「ポケモン」の特徴をゲームの歴史、あるいは当時の教育問題と照らし合わせながら、説得的に議論を展開している。現代に通じるコミュニケーションメディアとしてのゲーム文化を論じた非常に魅力的な論考となっている。 |
キーワード1 | ポケモン |
キーワード2 | 通信ケーブル |
キーワード3 | コミュニケーション |
キーワード4 | 個人化 |
キーワード5 | 消費社会 |
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