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学科 メディア学科
年度 2023
ゼミ名 勝野 宏史
タイトル 「癒し」がケアに与える影響 ?ホスピタルアートは患者と医療環境に如何なる影響を与えるか?
内容 本稿では、メディアによって作り上げられた冷たくて怖いという病院像を「癒しの空間」にするホスピタルアートは医療環境にどのような影響を与えるかについて言及する。これまでの医療とアートの歴史を鑑みても、医療環境の精神的ケアについての研究が始まったのはごく最近であり、ホスピタルアートの歴史は非常に浅い。しかし世界規模で見ると、現代にはいくらかの非営利団体が存在し、個々で普及活動を行っている人もいる。アンケート調査を行った結果、ホスピタルアートの認知度は依然として低いが、その存在に触れた人々はホスピタルアートに好感を持ち期待していることが分かった。また、ホスピタルアートを導入している医院へのインタビューを行った結果、患者に寄り添うホスピタルアートは病院を「無機質な空間」から「癒しの空間」に変え得ることが実証できた。AIなどの普及により効率化が求められる現代そしてこれからの未来において、ホスピタルアートは人間の精神的治療のために普及していかねばならない。
講評 今年度は多様なテーマからなる16の卒業論文が提出され、大きくは以下のカテゴリーに分けることが出来た。1.ポピュラーカルチャー(ファッション・音楽)2.テクノロジーと社会・文化変容(AI・アート・ゲーム・プラットフォーム)3.表象・イメージ(ジェンダー・人種・地方・国家・宇宙)4.消費社会・新自由主義(アイデンティティ・消費行動)。興味深いことに、最終の口頭試問において明らかとなったのは、ほとんどの論文が何らかの形で「変容」「つながり」「存在の不安」という問題意識を有しているということであった。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその分析の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。個々それぞれが独自のテーマに着目しながらも、上記のような共通の問題意識を共有することが出来たことは、ゼミ全体での議論を通じてそれぞれの研究が豊かになったからではなかろうか。今後の進路においても、この経験が各自の思考や表現の基盤となり、より幅広い視野で社会に貢献していく素地を築いたと信じている。コロナ禍での入学となり、様々な形の不安や不便があったにもかかわらず、その間蓄積してきた知識と経験を結集させ各論文を完成させた学生たちの努力と成長に心からの敬意を表します。
キーワード1 メンタルヘルスケア
キーワード2 医療
キーワード3 アート
キーワード4 ホスピタルアート
キーワード5 ヒーリングアート
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