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学科 メディア学科
年度 2023
ゼミ名 勝野 宏史
タイトル 現代における新たな「恋愛」の在り方に関する一考察 -恋愛至上主義から恋愛市場主義への変遷に着目して-
内容 現代の人々は従来に比べて「恋愛」に対して消極的な傾向にある。本研究では、恋愛至上主義の時代といわれた1980年代と恋愛市場主義といわれる現代の恋愛を取り巻く諸環境の比較を通じて、1980年代から現代までの「恋愛」の在り方の変遷について紐解く。なお、研究にあたっては、新自由主義の思想が現代の恋愛シーンに影響を与えていることに着目しながら議論を進める。
 研究の結果、従来ではロマンチック・ラブ・イデオロギーを前提とし、ロマン主義の思想を強く受けた恋愛が展開されていたが、現代ではロマンチック・ラブ・イデオロギーが崩壊しつつあり、恋愛の形式が多様化していることが明らかになった。また、従来では恋愛が価値合理的行為として成立していたのに対し、現代では恋愛が目的合理的行為として成立しつつある傾向に変化していることが明らかになった。このように、現代の恋愛シーンにおいては、多種多様な恋愛における目的を達成することに主眼が置かれ、まさにゲームをクリアするかのように恋愛行動がとられていることから、「ゲーム的恋愛」が展開されていると結論した。
講評 今年度は多様なテーマからなる16の卒業論文が提出され、大きくは以下のカテゴリーに分けることが出来た。1.ポピュラーカルチャー(ファッション・音楽)2.テクノロジーと社会・文化変容(AI・アート・ゲーム・プラットフォーム)3.表象・イメージ(ジェンダー・人種・地方・国家・宇宙)4.消費社会・新自由主義(アイデンティティ・消費行動)。興味深いことに、最終の口頭試問において明らかとなったのは、ほとんどの論文が何らかの形で「変容」「つながり」「存在の不安」という問題意識を有しているということであった。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその分析の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。個々それぞれが独自のテーマに着目しながらも、上記のような共通の問題意識を共有することが出来たことは、ゼミ全体での議論を通じてそれぞれの研究が豊かになったからではなかろうか。今後の進路においても、この経験が各自の思考や表現の基盤となり、より幅広い視野で社会に貢献していく素地を築いたと信じている。コロナ禍での入学となり、様々な形の不安や不便があったにもかかわらず、その間蓄積してきた知識と経験を結集させ各論文を完成させた学生たちの努力と成長に心からの敬意を表します。
キーワード1 恋愛
キーワード2 新自由主義
キーワード3 ロマンチック・ラブ・イデオロギー
キーワード4  
キーワード5  
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