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学科 | メディア学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 勝野 宏史 |
タイトル | テレビドラマ「悪女(わる)」にみる働く女性表象の変化 |
内容 | 本研究では、出世を目指す新入女性社員を描いたテレビドラマ「悪女(わる)」の1992年版と2022年版を比較分析し、働く女性のあるべき姿やジェンダーバイアスの描かれ方を考察した。 1992年版では、男尊女卑の当時の社会が反映され、補助的な業務で寿退社を目指して働き、その後専業主婦となり子育てを行うという流れが、働く女性のあるべき姿として描かれた。同時に、女性は能力が低く、結婚して子供を産むものだという当時のジェンダーバイアスを強化する描写が表れた。 2022年版では、女性活躍推進や柔軟な働き方が広がった社会が反映され、子育てと仕事の両立や、キャリアアップに力を入れるなど、多様な選択肢から自分で生き方を選ぶ姿が働く女性の理想像として描かれた。同時に、会社の重役は男性で、子育てや家事は女性の役割だとする未だ根深いステレオタイプ的なイメージが残されていた。 女性表象には当時の社会背景が強く反映され、新しい価値観や理想像を作り出す役割と、性別における偏見やバイアスが促される部分があることが読み取れた。 |
講評 | 今年度は多様なテーマからなる16の卒業論文が提出され、大きくは以下のカテゴリーに分けることが出来た。1.ポピュラーカルチャー(ファッション・音楽)2.テクノロジーと社会・文化変容(AI・アート・ゲーム・プラットフォーム)3.表象・イメージ(ジェンダー・人種・地方・国家・宇宙)4.消費社会・新自由主義(アイデンティティ・消費行動)。興味深いことに、最終の口頭試問において明らかとなったのは、ほとんどの論文が何らかの形で「変容」「つながり」「存在の不安」という問題意識を有しているということであった。本ゼミにおいて卒業論文執筆の際の目標として繰り返し強調してきたのは、トピック重視の狭い範囲で明快な議論を展開することではなく、具体的な現象とその分析の往還の中で自分なりの問いを見出し、その問いを追求する中でさらなる大きな問いにたどり着くということであった。個々それぞれが独自のテーマに着目しながらも、上記のような共通の問題意識を共有することが出来たことは、ゼミ全体での議論を通じてそれぞれの研究が豊かになったからではなかろうか。今後の進路においても、この経験が各自の思考や表現の基盤となり、より幅広い視野で社会に貢献していく素地を築いたと信じている。コロナ禍での入学となり、様々な形の不安や不便があったにもかかわらず、その間蓄積してきた知識と経験を結集させ各論文を完成させた学生たちの努力と成長に心からの敬意を表します。 |
キーワード1 | ドラマ |
キーワード2 | 女性像 |
キーワード3 | キャリア |
キーワード4 | 働く女性 |
キーワード5 | 女性活躍推進 |
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