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学科 産業関係学科
年度 2023
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 「日本型雇用の持つ危うさと危うさへの取り組みについて―リーダーシップと目標面談に注目して―」
内容 労働者の働き方への意識が変化しつつある昨今において、日本型雇用の持つ「①入社時に何も決めないこと②人事権・経営権の強さにより、労働者の意思に反した異動・転勤が生じる可能性があること」これらは労働者にとって“危うさ”になるのではないかと考えた。そこで本論文では「日本型雇用の持つ危うさへの取り組みについて」というテーマで議論を展開した。その際のポイントとして「労働者からどのようにして納得と合意を生み出すのか」に焦点を当て、「①リーダーシップ研究②目標面談」という2つの視点から考察を行った。①リーダーシップ研究に関しては従来のリーダーシップとは異なるサーバントリーダーシップの必要性とリーダーではないフォロワーの意識改革が重要だと考察した。②関してはリーダーシップ研究からの考察を補完する形で、形骸化しつつある目標面談の現状を踏まえ、労働者に面談者や面談場所等の選択権をある程度付与することで納得と合意を生み出せるのではないかと考察した。これにより納得と合意を生み出しやすくなるのではないかと考えたが完全に問題を解決できる方法ではなく、現状そのような方法を考察するのは難しいという結論に至った。
講評 皆さんの卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「WLBと柔軟な働き方」「障害者雇用など様々な雇用問題」「人事評価の公平性やHR管理の重要性,社内教育,DXによる組織沿革」「日本的雇用の危うさや新卒一括採用の問題点」「戦争体験と経営者」等々となっています。たしかに個々の論文を取り上げてみると,その内容に精粗や優劣もあったように思います。けれども,基本的にはゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労した研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを全体に向けた卒論作業を締め括る講評としたいと思います。
 まず,自らの選定したテーマに沿って,関連する先行文献をしっかり読んで欲しい。この点を第一に指摘をしておきたいと思います。研究主題に沿って,より多くの関連文献を渉猟している論文ほど,出来映えが良いと思われました。それによって,曖昧模糊としていた問題意識も鮮明化することになるし,課題の掘り下げも深まるからだと思います。具体的な現実を取り上げ,論じるに当たって「素手」で対象に取り組んではいけない。方法的な準備として,認識の枠組みをしっかり作って取り組むことが重要だと思います。昔,私が先生から教わったことを繰り返せば,高い建物を建てるためには,広い土台が必要になる。そのように考えて貰いたいと思います。
 また第二に現実の雇用社会の問題を論じる際には,マルクスの昔の有名な言葉をもじって言えば,肯定的な理解とともに否定的な理解も合わせ持って欲しい。要するに,批判的な研究であって欲しいということです。雇用社会の現実は,それが成立した「秩序」である以上,自らの存在の根拠をもっています。しかし,その現実をただ肯定するだけではつまらない。それがはらんだ無理や矛盾にも目を向けて欲しい。そういう要望です。やはり現実理解には,そのような複眼的な視点が必要だと思います。
 とはいえ,先人の言葉にもあるように「言うは易く,行うは難し」。評価の基準というよりも,現実理解に際した心がけだ思って下さい。
キーワード1 日本型雇用
キーワード2 人事権
キーワード3 経営権
キーワード4 サーバント・リーダーシップ
キーワード5 目標面談
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