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学科 産業関係学科
年度 2023
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 障害者にとっての働きやすさとは
内容  障害者は社会生活を送るなかで、「生きづらさ」を日々感じている。その要因は、障害者に対する偏見や差別を持つ人々による「目に見えない」潜在的な障壁である。さらに、障害者が、障害を理由とした偏見や差別をもっとも受けると感じる場所が「職場」である。
 本論文では、日本における障害者差別の要因を明らかにしたうえで、障害当事者の声から、障害者の就労における課題と支援のあり方を検討することで、彼らの「働きにくさ」を解消し、働きやすい職場の実現を目的とする。
 課題とは、企業・事業所の障害者とともに働くうえでの責任を自覚していないこと、それによる障害・障害者に関する知識が不十分であること、障害当事者の意見を取り入れないことなどが挙げられる。そして、支援とは、障害者とともに働くうえでの責任を自覚させること、専門的な知識をもつ第三者を介入し、合理的配慮の方法を明確にすること、障害当事者の意見を取り入れることなどが挙げられる。
講評 皆さんの卒論のテーマを分野別に大きく括ってみると,「WLBと柔軟な働き方」「障害者雇用など様々な雇用問題」「人事評価の公平性やHR管理の重要性,社内教育,DXによる組織沿革」「日本的雇用の危うさや新卒一括採用の問題点」「戦争体験と経営者」等々となっています。たしかに個々の論文を取り上げてみると,その内容に精粗や優劣もあったように思います。けれども,基本的にはゼミ生皆が真面目に取り組んでくれた。そのように考えています。そこで,以下では皆さんが苦労した研究論文の執筆というものをめぐって,わたしが大事だと考える要点を簡単に指摘して,それを全体に向けた卒論作業を締め括る講評としたいと思います。
 まず,自らの選定したテーマに沿って,関連する先行文献をしっかり読んで欲しい。この点を第一に指摘をしておきたいと思います。研究主題に沿って,より多くの関連文献を渉猟している論文ほど,出来映えが良いと思われました。それによって,曖昧模糊としていた問題意識も鮮明化することになるし,課題の掘り下げも深まるからだと思います。具体的な現実を取り上げ,論じるに当たって「素手」で対象に取り組んではいけない。方法的な準備として,認識の枠組みをしっかり作って取り組むことが重要だと思います。昔,私が先生から教わったことを繰り返せば,高い建物を建てるためには,広い土台が必要になる。そのように考えて貰いたいと思います。
 また第二に現実の雇用社会の問題を論じる際には,マルクスの昔の有名な言葉をもじって言えば,肯定的な理解とともに否定的な理解も合わせ持って欲しい。要するに,批判的な研究であって欲しいということです。雇用社会の現実は,それが成立した「秩序」である以上,自らの存在の根拠をもっています。しかし,その現実をただ肯定するだけではつまらない。それがはらんだ無理や矛盾にも目を向けて欲しい。そういう要望です。やはり現実理解には,そのような複眼的な視点が必要だと思います。
 とはいえ,先人の言葉にもあるように「言うは易く,行うは難し」。評価の基準というよりも,現実理解に際した心がけだ思って下さい。
キーワード1 障害者
キーワード2 優生思想
キーワード3 一般就労
キーワード4 福祉就労
キーワード5 就労支援
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