詳細 | |
---|---|
学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 語りからみる与那国馬と人々の関わり ―与那国馬の家畜文化をめぐって― |
内容 | 本稿では、沖縄県与那国島の島民へのインタビューを通して、語りを基に与那国馬と人々の関わりを明らかにした。調査の結果、過去には与那国馬を飼っている家庭が多く、主に運搬や移動において人々の生活を支えており、家族や集落に住む人々を巻き込んで大切にされてきた。しかし機械化の影響を受け家畜文化の消滅により与那国馬は家畜の役割を失った。そして生活が文明化してきた今、与那国馬との思い出をインタビューしてみると、与那国馬を肯定的に語る人々と、与那国馬は貧困の時代の象徴として否定的に認識している人々で分かれた。また与那国町の行政による与那国馬に対する対応は決して手厚いものではないが、馬牧場の中には、今でも小学校に馬クラブを作り活動することで子どもたちの与那国馬に対する愛情を育て、次世代に与那国馬を残そうとする動きもあることがわかった。 |
講評 | 沖縄県与那国島での長期(2年間もの間定期的に)にわたるフィールドワークをまとめた労作である。牧場においてスタッフとして働きながら、日本在来馬の飼育に関わる関係者をまわって広くインタビューし、馬と人との関わりの諸相を明らかにした。馬とのふれあい教室や運動会への参加など、今日的な教育活動への広がりを記述する一方で、馬の飼育や牧場の経営を取り巻く環境への冷静な眼差しも忘れない。重要なのは、かつて労働力として馬を利用していた頃の辛い記憶(積極的に語りたがらないような内容も含め)を、高齢者への丹念な聞き取りから明らかにした点である。「馬と人との関係」を単なるきれいごとでは済まさず、何層にも折り重なる語りとして捉えうるとした本稿の指摘は、在来馬に限らず動物と人との関わりに関して多領域に展開しうる洞察である。 |
キーワード1 | 与那国馬 |
キーワード2 | 家畜文化 |
キーワード3 | 語り |
キーワード4 | 日本在来馬 |
キーワード5 | 牧場 |
戻 る |