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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | スペインの闘牛における文化的意義―語りと統計資料をもとに― |
内容 | 本稿では、スペインの伝統文化の一つでもある「闘牛」という一つの文化に焦点を当て、ヨーロッパ中で古くから批判を受けながらもなぜスペインでは残存するに至ったか、闘牛の受容に至ったスペインの特殊な文化的価値観の形成を参照しながら、闘牛の文化的意義を明らかにすることを目的としている。闘牛における「牡牛の死」については闘牛反対論者が「命を犠牲にした残酷な見世物」とする一方、闘牛擁護派は「動物の生と死を生(なま)で鑑賞する官能的なまでの芸術」とし、全く異なった見方が明らかになった。本研究では闘牛の芸術点を明らかにしながら、問題点である「牡牛の死」の必要性について検討し、スペインの闘牛における文化的意義を考察した。社会の価値観が発展していく中で、闘牛は存続のためにその形を変容せざるを得ないのか、または消滅すべきか、持続可能な解決策は存在するのか、伝統的文化と現代的価値観との衝突の問題について新たな洞察を得た。 |
講評 | 筆者のスペイン留学での観劇をきっかけとして、世界的に知られる闘牛文化の現状と今日的意義を多角的に捉えようとする論考である。ゴヤ、ヘミングウェイ、レリスといった芸術家・思想家たちの評論を読解する理論編、闘牛士を身近に知る人物への聞き取り調査を行う実践編、統計資料を用いた経済的・社会的動向の分析を試みる統計編から構成され、行き届いた考察を展開している。女性闘牛士の立ち位置や動物の権利関連の議論など、アクチュアルな問題提起を十分に掘り下げるまでは至らなかったものの、文化現象の総合的考察の試みとして十分な意義を有している。 |
キーワード1 | 闘牛 |
キーワード2 | 儀式 |
キーワード3 | スペイン文化 |
キーワード4 | 動物愛護 |
キーワード5 | 伝統文化 |
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