詳細 | |
---|---|
学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 奥井 遼 |
タイトル | 子どもたちがつくる居場所 ―子ども居場所事業における「永続性」と「一時性」― |
内容 | 本稿は、京都市内の子ども居場所事業におけるフィールドワークを通して得た事例をもとに、子どもたちにとっての居場所がいかにして形成されるかについて考察するものである。筆者はボランティアとして子ども食堂の運営や子どもとの遊びを支えてきたが、その3年間にわたる活動の中で重要な事例を記述した上で、とりわけ「筆者と子どもたちとの関わり」、「子どもたちの遊び」、「記憶の装置」といった点に着目して考察を行った。子どもの居場所事業の役割として、子どもが安心できる場所を長期にわたって与えること、すなわち「永続性」が重要であるとする議論と、また他方で、むしろ役割や活動内容によって人間関係が流動的になりうるとする「一時的居場所」としての性格を見出す先行研究が混在している。本稿では、子どもたち自身によるスタッフへの働きかけや、遊びの中で継承されている名づけの工夫などに着目することにより、永続的でありながら一時的居場所にもなりうる居場所事業のありようを明らかにした。 |
講評 | 子ども居場所事業のスタッフとして3年にのぼる活動を続けてきた成果をまとめた論考である。子どもたちが夜に集まって公園でサッカーをする際、かつて一緒に遊んだ仲間たちの名前をしばしば引用しながらプレーする姿から、子どもにおける「居場所」とは、必ずしも一時的なものではなく、記憶を通して永続的に続く可能性を見てとった。理論的な論証は十分ではないものの、ユニークな事例に目を付けた論考である。フィールドワークの成果として見るならば、筆者の立場(結束意識の強い子どもたちに仲間として受け入れられながら、かつ支援者や指導者というわけでもない第三者的な関わりを維持したこと)のあり方も評価されるだろう。 |
キーワード1 | 子どもの居場所事業 |
キーワード2 | 遊び |
キーワード3 | 永続性 |
キーワード4 | 一時的居場所 |
キーワード5 | 記憶の装置 |
戻 る |