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学科 教育文化学科
年度 2023
ゼミ名 奥井 遼
タイトル 犀の角にみる「劇場」の公共性
内容  本稿では、長野県上田市にある劇場兼ゲストハウス「犀の角」で取り組まれる社会包摂事業に着目し、フィールドワークとインタビューで得られた「語り」から、犀の角で社会包摂事業が実施されるプロセスと、犀の角の「核」である「演劇のマインド」を明らかにした。調査の結果、犀の角は、個人の関心に基づく「モヤモヤ」を共有できる場として地域に存在しており、「対話」の積み重ねによって、既存の枠組みを越えた独自の社会包摂活動を展開していることが示された。また、犀の角の活動の根底には、犀の角スタッフの舞台や作品作りへの関心が共有されており、その関心に基づく「演劇のマインド」が犀の角での社会包摂に作用していることが示唆できる。近年、劇場に「社会包摂」の機能が期待されている。犀の角での社会包摂事業は、劇場による社会包摂を考える上で、「演劇」という活動そのものの再定義に迫り得る。
講評 演劇を通した人間形成に強い関心を寄せ、また自身も学生演劇の制作現場に深く関わる筆者が、演劇という装置の公共的な機能について問う意欲作である。青少年活動のサポート、制作現場での下積みといった豊富な経験を持ちながら、卒論では長野県上田市にある劇場の取り組みに焦点をあて、その先駆的な実践の内実と意義を明らかにするものである。演劇のの創作経験を豊富に持つ関係者が、劇場運営や場づくりといった点でも演劇的マインドを発揮することで、現在を相対化したり議論の場を生成したりする、ひとつの開かれた公共性を獲得することを論じる。作品解釈や演劇教育といった従来の研究に新たな視点をもたらすような、劇場という存在の意義を立体的に捉えた論稿である。
キーワード1 演劇
キーワード2 劇場による社会包摂
キーワード3 対話
キーワード4 地域社会
キーワード5 公共性
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