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学科 教育文化学科
年度 2023
ゼミ名 兒島 明
タイトル 在日朝鮮人にある「在日」という呼称の特異性 ~次世代のエスニック・アイデンティティ形成に向けて~
内容  戦前から戦後にかけて日本社会に流入してきた在日朝鮮人。現在、在日朝鮮人は世代交代も進み、日本生まれ日本育ちの在日朝鮮人も当たり前になってきた。しかしそんな彼らは今も「在日」朝鮮人と呼ばれている。日本生まれ日本育ちで日本人と変わらないのにも関わらず「日本に滞在している」という意味である「在日」が戦後約70年使われ続けている。本論文はこの「在日」という呼称に焦点を当てて、現代を生きる在日朝鮮人のエスニック・アイデンティティ形成を助ける一手としたいという目的である。
 在日朝鮮人の歩んできた歴史的背景を振り返ると、「在日」という呼称の意味の変化が見ることができる。また「在日」という省略語を活用する在日朝鮮人の日本文化との共生を見ることもできる。こうした点から現代を生きる在日朝鮮人の「日本人」なのか「韓国人」「朝鮮人」なのかというアイデンティティの揺らぎを助ける手立てを提示したい。
講評 長期にわたる日本居住の事実にもかかわらず在日朝鮮人に「在日」という呼称が使われ続ける理由を歴史的に跡づけながら、この呼称とエスニック・アイデンティティの関連性と可能性を見出そうとする論考です。在日朝鮮人の歴史的背景の記述が、必ずしも「在日」という呼称をめぐる歴史を正面から取りあげたものとなっていないため、呼称の使用やその意味づけをめぐって異なる立場にある人びとの間に、いかなるせめぎ合いがあったのかが不明瞭ではあることは否めません。しかしながら、敗戦後の日本における「単一民族神話」の構築およびそれに依拠した「日本人」の想像=創造と裏表の関係にあるものとして「在日」という呼称の使用を捉える視点は、議論としていまだ十分に深められてはいませんが、熟考に値するものと思われます。さらなる議論の進展を期待したいところです。
キーワード1 在日朝鮮人
キーワード2 アイデンティティ
キーワード3 呼称
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