詳細
学科 産業関係学科
年度 2023
ゼミ名 阿形 健司
タイトル 子育てをする保育士がWLBを取れる働き方とは
内容 本論文では、保育士の労働環境や現在問題視されている課題点を整理した上で、子育てをしながら働く保育士がどのように仕事と家庭を両立させているのかを検討した。先行研究では、子育てのプロとして保護者や周囲からのプレッシャーを抱えながら、自身の子どもと向き合う中での理想と現実の違いに葛藤があることがわかった。そのような葛藤とどのように向き合い勤続しているのかを分析するため、子育て経験のある保育士三人に聞き取り調査を実施した。
 調査の結果、子育てをしながら働き続けることにはやりがいの他に金銭的な理由が大きく、自身の子どもとの時間を削ることに強く葛藤をもっていることがわかった。加えて、出産前と同量の仕事量、労働時間で働きながらも保育士たちは家事や育児の殆どを行っているため、出産前よりも負担が大きい傾向がみられた。
 このことから、現段階では、子育てを行いながら保育士として仕事を継続することは保育士自身の負担が大きくなり、WLBの両立が出来ているとはいいにくい状況である。これらを改善するために、夫や周囲が家庭のことに協力することは勿論、経験を積んだ保育士や園長が積極的に労働環境を独自に変革し、多様性のある働き方を徐々に定着させることが必要であると考えられる。
講評  育児をしながら就業継続することは家族の努力だけでは実現がむずかしく、他者による支援を必要とする。保育所はその支援制度の代表的なものの一つであるが、保育所で働く保育士自身の育児と仕事の両立はいかにして可能かという独創的な問題意識に基づいた論文である。複数の保育士に対する聞き取り調査の結果、保育士も他の労働者と同様の困難を抱えていることが明らかになった。仕事の性格上、保育士は長時間労働になりやすいので、保育士自身の育児と仕事の両立は一層困難になりがちである。保育士自身の「やりがい」意識に依存したかたちで保育労働が続けられる限り、質の高い保育を保障することはできない。あらためて保育士の労働条件の改善が求められることが示唆された。
キーワード1 保育士
キーワード2 子育て
キーワード3 ワーク・ライフ・バランス
キーワード4  
キーワード5  
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.