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学科 | 教育文化学科 |
年度 | 2023 |
ゼミ名 | 中川 吉晴 |
タイトル | 被虐待経験を負う青年のアイデンティティ──青年との語り合いを通して |
内容 | 本研究では,被虐待経験を持つ青年がどのような生の実感を生きているのかについて迫った。1章では,児童虐待等によって生じる心的ストレス障害がどのような影響を青年に与えるのかについて,先行研究を概観した。2章では,大倉(2011)の「語り合い法」を用いてインタビューを行う中で,被虐待経験を負う青年が,虐待関係の中で自身を他者に合わせて偽らないと生きていけないと感じているということを確認した。そして,そのような虐待関係の中で歪められた人格から抜け出そうとする力動と, そこにしがみついていたいという力動の両義性があることを確認した。3章では、Herman(1996)が指摘していた被虐待関係から抜け出そうとすることに付随する「実存的不安」とともに,被虐待関係の中で感じられる快楽的側面にしがみついていたいという「甘美さ」の感情が同時に生じていることを新たに発見した。 |
講評 | 本論文は、幼少期に長期の被虐経験をもつ人が青年期にさしかかり、被虐経験をどのように生き変化をとげていくのか、その内的世界の構造を明らかにしたものである。ハーマンやミラーの先行研究をふまえたうえで事例研究をおこない、従来の理論では説明されていなかった心理構造に深く迫っている点が評価できる。 |
キーワード1 | 被虐待経験 |
キーワード2 | 青年 |
キーワード3 | 心的外傷 |
キーワード4 | 実存的不安 |
キーワード5 | アイデンティティ |
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