詳細
学科 産業関係学科
年度 2010
ゼミ名 三山 雅子
タイトル 医療崩壊
内容  近年、医療事故の増加、医療崩壊が問題視されている。その原因として、過去10年間で国民医療費が1.3倍になったことを受けて、政府が診療報酬を3.16%ダウンさせた事があるが、医師たちにとっては、忙しい上に低賃金となっては質が低下するのはむしろ当然のことである。
 また、現状は診療科別の1週間の勤務時間は産婦人科の69.3時間を筆頭に、厚生労働省の「過労死認定基準」を大幅に超えている。その過酷な状況から逃げるようにして現場から立ち去る医師や、実際に過労死する医師が増えているが、厳格に労働基準法にのっとった仕事にすれば、病院が経営上成り立たないという矛盾もある。
 解決策として、医師が行う必要の無い事務仕事等を代行する医療事務補助者を導入したり、今現場で活躍している女性医師が今後も継続できるように保育施設を整備すると同時に、宿直を軽減する等、働き方を支援することが必要だが、十分な収益のある病院でないと難しい。
 したがって、この財源を国で確保するためには社会保障費の5倍にもなっている公共事業費を削減し利用する事で、日本のGDPに占める総保険医療費支出の割合を8%代から、10%半ば程度の他の先進国並みにするべきである。
講評  社会科学的テーマならばOKということで、私のゼミでは卒論のテーマは4回生が自由に決めている。もちろんすんなりとテーマが決まることはあまりなく、二転三転してテーマが決まる。そこが、これまでの与えられたテーマで書くレポートと卒論の違いであろう。今年ゼミ生が卒論に選んだテーマは、日本農業の自立、ワーキングプア、ワーク・ライフ・バランス、日本の外国人労働者問題、医療崩壊、新規大卒者の就職、中国の農民工問題、格差社会等である。今の日本が、世界が見事に反映している。人生のスタート台にたった人たちの目にはこんな風に見える社会を、私たち大人は作り上げてきたのだ。私の卒論テーマはパートタイマー労働問題であったが、このテーマ群をみて思わず私は、今自分が22歳であったならば、何をテーマに卒論を書くのであろうかと思った。このように今という時代をつかまえる若い人たちのアンテナは確かであると思う。
 今はインターネットの時代である。たいていのことはネットであら調べができる時代である。図書館での文献検索であっても、かつてなら1週間はかかることが1~2日でできる時代である。さすがにレポートを山のように書いてきた産関の学生である、データにはあたっている。しかし、そこから先は、毎年のことではあるが千差万別であった。データの原典にあたり、原典のデータを自分で加工している学生もいれば、重引きしたデータで間に合わせている学生もいる人間は間違う存在であり、他人が作ったデータである既存データは間違っている場合もあるのである。既存データを使用することの怖さを知っていてほしいと思う。
 そして、先に触れたように今はインターネット時代である。だからこそ単にデータが扱われているだけではダメで、データを読み込んで自分なりにどう解釈したのか、つまりはデータとどう格闘したのか、データについての思索こそが問われると思う。この点についても、やはりよく考えた者とそうでなかった者との差は大きかった。これからあなた達が出ていくところは実社会であって学校ではない。失敗は即ダメージにつながりかねない場所だ。より深く考えることこそが武器であることを知っていてほしい。
キーワード1 診療報酬削減
キーワード2 働き方支援
キーワード3 総保険医療費支出
キーワード4  
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