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学科 | 社会学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 鵜飼 孝造 |
タイトル | タクシー業界が抱える構造的問題 ─京都市を例に─ |
内容 | タクシー業界で問題となっている交通問題や乗務員の労働環境悪化の主原因は、景気の悪化に伴う需給バランスの崩壊であり、それまで主原因だと考えられてきた規制緩和は、需給バランスの崩壊に拍車をかけた二次的な要因であることを明らかにしている。そして、乗務員の労働環境悪化の要因について、需給バランスの崩壊という外的な要因だけでなく、業界が抱える二つの構造的問題として、業界内に蔓延している事業者の遵法意識の低さと特殊な給与システムを挙げている。しかし、この構造的問題があるゆえに、タクシー業界は高齢者の雇用の受け皿となっているのである。つまり、構造的問題を改善しようとすれば、高齢者の雇用が失われ、高齢者の雇用を守ろうとすれば、乗務員の労働環境の改善が図れないという矛盾をタクシー業界は抱えているのだ。本稿は、タクシー業界、各方面の取り組みを考察することによって、業界の将来像について言及し、タクシー業界内で起きている労働環境悪化という問題が、資本主義社会の矛盾である高齢者の雇用という問題と関連していることを明らかにしたものである。 |
講評 | 著者の実家はタクシー会社を経営しており、業界の実態をよく知った上での研究なので、読んでいて迫力があった。タクシーの乗務員にインタビューした上での議論も興味深かった。この種の研究は需給ギャップなどのマクロな視点からの研究と、「裏事情」に迫るエスノグラフィー的な研究との両極に分かれがちであるが、この論文ではマクロな統計と当事者の認識のズレを埋めながら丁寧に、まさに社会学的に問題に迫ろうとしているところに好感を持った。 |
キーワード1 | タクシー |
キーワード2 | 構造的問題 |
キーワード3 | 労働環境 |
キーワード4 | 高齢者 |
キーワード5 | 雇用 |
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