詳細
学科 社会学科
年度 2010
ゼミ名 鵜飼 孝造
タイトル 武道のスポーツ化の影 ─空手道における「武道性」の喪失─
内容  日本には中世以前から伝わる「武道」というものがあるが、現在我々が知っている武道というものは、昔から変わらず伝承されたものではない。それは明治時代の文明開化から始まる日本社会の大きな変革により近代化されていく社会へと相応しい形に変えて今日まで残ってきているのである。現在の「武道」は、近代化を施されたかつての「武術」が姿を変えたものであって、武術に比べてスポーツ化された一面を持つ。
 空手道においてもその例外ではなく、今彼らはそのスポーツ化された空手の試合のために稽古をするようになり、特にフルコンタクト空手の分野においてその傾向は顕著である。スポーツ化を押し進めることによって多くの人が武道に挑戦するようになり、その規模も大きくなるが、スポーツ化された中での試合の内容と実践との間に大きな隔たりが生じ始め、空手は本来の目的である武道性の追求・実戦において護身のためのものという存在意義を失いかけており、もう一度武道を日本の身体文化として再認識する必要がある。
講評  柔道を典型に日本の武術は近代化の中で武道に姿を変え、いわばスポーツ化することで世界に受け入れられるようになった。中国武術が沖縄に伝わって完成された空手は、本土でも普及してスポーツ化するものの、柔道のような組織化、流派の統一化に失敗し、近年はむしろ本来の実戦性や技を重視する方向に回帰しつつあるという。著者はもともとグローバル化に関心をもっていたが、自分がいつも稽古している空手について研究することで、スポーツの近代化やグローバル化の両義性を発見するにいたったわけで、読んでいてとても興味深い研究になったと思う。
キーワード1 スポーツ化
キーワード2 武道性
キーワード3 フルコンタクト空手
キーワード4 実戦
キーワード5 試合
戻 る
Copyright (C) Doshisha University All Rights Reserved.