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学科 社会学科
年度 2010
ゼミ名 鵜飼 孝造
タイトル 平成大合併の功罪 ―篠山市と矢祭町を事例に―
内容  2000年から2010年までの11年間で日本地図は大きく変化した。政府が自治体同士の生き残る手段と銘打って市町村合併を勧告したからである。いわゆる「平成の大合併」だ。しかしながら合併をして良かったという意見はメディアを通じて耳に入ってくることは少ない。ではなぜこのような事態に陥ってしまったのだろうか。本論文ではこの疑問を出発点として、平成の大合併の功罪について論じている。
 本稿ではまず明治・昭和に政府主導で実施された市町村合併の歴史について論じている。次に平成の大合併の特徴を明記し、いかにして市町村が合併を扇動されたかについて論じた。そして過去の合併と今回の合併の共通点・相違点を見出した。
 第3章以降では上記の事柄を参考に、篠山市・矢祭町を事例対象に設定してその現実を調査・考察した。結論として合併はマイナスの側面がプラスの側面を上回っているとしている。だが根本的な問題は少子高齢化や財政難など日本国が直面している問題に存在し、合併よりも大がかりな規模の対応が迫られているとも結論付けた。
講評  市町村合併について、その歴史と特に平成の大合併の問題点を丹念に整理した読み応えのある論文だった。明治時代から、日本の行政は圧倒的に中央集権的なのだが、その組織は意外にスリムであり、反対に膨大な事務処理は地方に押しつけられてきた。いわば「金は出さぬが、口は出す」のである。しかし、少なくとも昭和まで中央は潤い、地方に回すポケットマネーもあった。平成になっていよいよ財政が苦しくなると、その形を地方に押しつけてきたのが「大合併」の真相であり、うまくいく道理もない。しかし、高齢社会は分権化をますます困難にしている。「国と地方」という発想自体が時代遅れなのだろう。
キーワード1 市町村合併
キーワード2 地方分権
キーワード3 合併特例法
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