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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 石田 光男 |
タイトル | 2004年公的年金制度改革の再考 |
内容 | 公的年金制度は、時代の変化に伴って改革の歴史をたどってきた。1970年代、当時は好調であった経済を背景に、保険料負担よりも多くの年金給付があって当然とされていた社会がそこにはあった。しかし、その過去の政策が、今となっては「負担の先送りと給付の先食い」として、私たちに大きな負担となって圧し掛かっている。その現状を打開すべく2004年改革では、保険料水準固定方式やマクロ経済スライドが導入され持続可能な制度の構築が図られた。しかし、少子高齢化や働き方の多様化などの社会の波の影響もあり、効果はあまり出ていないのが 現状だ。そこで、本論文では公的年金制度の一元化と基礎年金の全額消費税方式を提案する。現在の社会保険方式で発生している世代間不公平や未納問題、また雇用形態による負担格差も、保険料の拠出を全国民に広く薄く負担をかけられる消費税を財源とすることで解決する。もちろん全額税方式におけるデメリットや制度移行における障害も存在するが、今の現行の制度を続けていくことによるマイナス影響のほうが大きいと私は考える。 |
講評 | 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 印象に残る良き作品について若干の言及をしたい。「先生と私」は卒論テーマが定まらずに困った末に、ゼミの先生の研究をきちんと理解しようとした、素直で学生らしいよい卒論である。それも研究方法、研究態度を追いかけているのが優れている。私が何故、政策的指南を行わないのかをよく理解しようとし、その上で、にもかかわらず、私の研究は「生き方を指南している」という結論は鋭い。「教員組合のあるべき姿」は、わからないことを当事者にあたって調べるという産業関係論の実証的精神をよく体現した力作である。その心構えがよい。「感情と経験を言葉にする」は、西部氏の『人間論』をしっかり自分なりに読み込む努力が、通常の学生にない真摯さに貫かれていて私のような年配者に「もっと議論してください」と訴えているようで、誠に好感のもてる作品である。「グローバル社会で生き抜くための人材戦略」は私が唱える日本の伝統的人的資源管理の美点への「惑溺」的欠陥を若い世代の視点から覆そうとする、切迫感がすばらしい。心のこもった作品である。 また、最も嬉しかった作品は「日本の人事・賃金制度の歴史」である。何事にも無関心で無気力な同君が「私はこんなに変わりました」ということを喜びに満ちて表現しているからだ。教育をしていてめったに出会えなかった喜びだ。私が励ましを得た貴重な作品である。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 |
キーワード1 | 世代間不公平 |
キーワード2 | マクロ経済スライド |
キーワード3 | 全額税方式 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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