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学科 | 産業関係学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 石田 光男 |
タイトル | 新しい労働社会を迎えるために |
内容 | この論文では、近年の労働環境の変化について取り上げる。近年、欧米、日本をはじめとする先進国では、IT技術、海外の労働力へのアウトソーシングの影響によって、ブルーカラー、ホワイトカラーの価値の低下が起こっている。代用の効く単純労働は、コンピュータや安い労働力によって淘汰される。 このような変化によって、先進国では、新しいアイデアや自らの専門知識を強みに自律的に働く「クリエイティブクラス」や「フリーエージェント」という新しい階層が登場しつつある。彼らは、これまでもブルーカラーやホワイトカラーと全く異なる賃金体系、労働環境の下で働いている。 今後、先進諸国では、彼らのような自律的労働者のプレセンスが高まってくると予想される。IT技術や海外の労働力との競争にさらされず自らの「食いぶち」を維持するためには、他人の代用を許さない専門技術やコンセプトを生涯に渡って維持し続ける必要がある。これからの先進国の労働においては、自己啓発と生涯学習が必要不可欠な要素となってくるだろう。 |
講評 | 卒業論文は一人一人の言葉の正しい意味での自己紹介だと思う。「わたしはこういう人間です」「これ以上でもこれ以下でもありません、私という人間は」ということをどうしても表現することになってしまうのが言葉の本性だからである。言葉遣いの現在の到達点、それが各人の卒業論文である。 印象に残る良き作品について若干の言及をしたい。「先生と私」は卒論テーマが定まらずに困った末に、ゼミの先生の研究をきちんと理解しようとした、素直で学生らしいよい卒論である。それも研究方法、研究態度を追いかけているのが優れている。私が何故、政策的指南を行わないのかをよく理解しようとし、その上で、にもかかわらず、私の研究は「生き方を指南している」という結論は鋭い。「教員組合のあるべき姿」は、わからないことを当事者にあたって調べるという産業関係論の実証的精神をよく体現した力作である。その心構えがよい。「感情と経験を言葉にする」は、西部氏の『人間論』をしっかり自分なりに読み込む努力が、通常の学生にない真摯さに貫かれていて私のような年配者に「もっと議論してください」と訴えているようで、誠に好感のもてる作品である。「グローバル社会で生き抜くための人材戦略」は私が唱える日本の伝統的人的資源管理の美点への「惑溺」的欠陥を若い世代の視点から覆そうとする、切迫感がすばらしい。心のこもった作品である。 また、最も嬉しかった作品は「日本の人事・賃金制度の歴史」である。何事にも無関心で無気力な同君が「私はこんなに変わりました」ということを喜びに満ちて表現しているからだ。教育をしていてめったに出会えなかった喜びだ。私が励ましを得た貴重な作品である。 偽りのない自分の到達点としての卒業論文を直視して、そこから自らの研鑽を積み上げていって欲しい。 |
キーワード1 | 自律的労働 |
キーワード2 | クリエイティブ・クラス |
キーワード3 | フリーエージェント |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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