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学科 | 社会福祉学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 野村 裕美 |
タイトル | 発達障害児者が抱える生きづらさとは―「地域に生きる」を目指して― |
内容 | 本論文は,「発達障害児者が各発達段階においてどのような生きづらさを抱えているのか」という問いに対し,「発達障害児者が抱える困難は発達段階で異なり,そして,それらの困難に対する現在の発達障害児者支援は十分ではない」という仮説にむけて論じたものである.これまで理解されにくかったある障害の存在が,最近になって認知されるようになってきた.それが,発達障害である.しかし,この障害は見た目からは分かりにくいため,正しい理解が得られにくい上,日常生活で様々な困難を抱えていても,支援と支援の谷間におかれてきた. 本論文では,発達障害に関する理解を深めた上で,発達障害児者の乳幼児期から大学までの年代において抱える困難を明らかにし,これらの困難に対する支援の現状と課題から,発達障害児者の困難に十分応えられていないことを検証した.そして,フィールドワークでのインタビューを通じてみえてきた,今後の発達障害児者支援のあり方について地域支援の視点から考察した. |
講評 | 筆者の卒論は45枚にわたり、ゼミでは一番の大作となりました。枚数の多さだけでなく、中味も非常に質が高く、引用参考文献の数も段違いに多く、自らの論旨にそって引用している用い方、本文と注での解説をうまく使い分け、本筋にそって伝えたいこと、補足的に伝えておきたいことを実にうまく書き分けています。何を明らかにしたいのか、明確な論文として見事です。ゼミで行ったフィールドワークと自分の関心領域でつなげて考えられるところを見い出し、気づきをふんだんに盛り込んでいます。先行文献の整理だけにとどまらず、自らがインタビューをして考察したことを補うことで、論の展開をより説得力のあるものにまとめ上げた、一本筋の通った論文に仕上がりました。卒業論文としての完成度の高さは類をみないものがあることを、ここに評しておきたいと思います。 さて、筆者の卒論の問いにつながる興味関心は、大学でのボランティアサークルでの活動が軸となっており、そういう意味では4年間かけて温められてきたものだと思います。周囲との認識のギャップ、特に家族から本人へ向けられる期待や思いとのズレがあることに着目し、単なるサービスの利用では解決できない当事者が感じている息苦しさを検証していく論文となりました。問いの設定では、何度も研究室に足を運び、私と議論しました。当事者の感じる息苦しさ・生きづらさを発達段階にそって整理し、地域を基盤に生涯一貫した支援の必要性について提言をまとめました。発達障害者の生きづらさのリアリティに近づきたいという筆者の共感性の高さは、そばで指導をしている私からみれば、「ぜひともこの学びをあなた自身が実践家となって支援の中で活かすべきである」との希望につながってやみません。 |
キーワード1 | 発達障害 |
キーワード2 | 地域 |
キーワード3 | 支援 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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