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学科 社会福祉学科
年度 2010
ゼミ名 野村 裕美
タイトル 地域医療の危機を救う主体的住民意識の形成―どうなる?からどうする?へ、奈良県の事例から―
内容 本論文は,「なぜ住民の主体性は生まれるのか」という問いに対し,「生まれ育った地域で過ごすことによって生まれる愛着が,地域課題に向き合う住民の主体性につながる」という仮説に向けて論じたものである.2006年7月,奈良県大淀町を発端とする妊婦のたらいまわし事件が起きた.医療崩壊という言葉が全国に広まった.当地域住民は医療の危機に際し行動を起こさなかった一方,兵庫県丹波市では小児科の危機を救った母親たちの活動を目にした.同じ地域医療の危機に際しながら,行動に違いが出たのは,なぜだったのだろうか.本論文では,奈良県の南北で二分される地域性に注目し,県医療の現状を述べる.その上で,県内で地域医療に関する市民活動の会へのフィールドワークをもとに,住民の主体性の生まれを探る.フィールドワーク及びその分析の結果,定年後に職住分離が解消されることによる生きがいとしての住民活動の存在が明らかになった.
講評  自分の生まれ育った町、奈良県大淀町で起こった妊婦のたらい回し事件をきっかけに、筆者自身がそこに住む住民の一人である立場から、主体的に地域医療の課題に二年かけて取り組んだ集大成となっています。「二年かけた」というのも、ゼミで実施した兵庫県立柏原病院の小児科を守る会、青森県下北医療圏でのフィールドワークで得た「住民の主体形成はなぜ生まれるのか」という問いについて、ぶれずに温め続けたからです。4回生では、個別に生駒の地域医療を育てる会でのフィールドワークやインタビューを丁寧に実施し、個人の問題意識とゼミでの取り組みを見事にまとめ上げた作品となりました。地域で暮らす住民の立場で感じたリアリティ(医療への不安や不信な気持ちがあるということ)は、春からソーシャルワーカーとして働く際に忘れないでください。そして、生駒の会のみなさんとのさまざまな取り組みから自ら感じた「主体性が生まれる瞬間」の感覚を、支援する側になっても忘れないでいてほしいと思います。
キーワード1 職住分離の解消
キーワード2 市民活動
キーワード3 主体性
キーワード4  
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