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学科 | 社会学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 藤本 昌代 |
タイトル | カミングアウト行為に対する態度とその規定要因――男性同性愛者による語りから―― |
内容 | 日本に住む同性愛者の多くは、自分が同性愛者であることを多かれ少なかれ隠して生活している。それは、日本社会があまりにも異性愛を前提に成り立っており、同性愛者の存在が見えにくくなるような構造が存在するためである。この異性愛規範の強い社会では、その規範から外れている同性愛は「好ましくない違い(スティグマ)」ととらえることができる。ゴフマンは、そのスティグマを持つ者が、どのようにスティグマを隠そうとするのかという戦略を研究対象とした。しかし、そのような「逸脱者」は、時にはそのスティグマを他者へ明かすこと(カミングアウト)もする。そこで本論文では、ゴフマンが描かなかったカミングアウトという行為に研究対象を絞りたい。具体的には、男性同性愛者のカミングアウトに対する態度、そしてその態度を規定する要因について調査をしていく。5人の男性同性愛者にインタビューをし、実際に彼らのカミングアウトのストーリーを聞くことで、当事者がどのようなプロセスを経てカミングアウトに至るのかという構造を探る。 |
講評 | 同性愛者が異性愛者から逸脱者ととらえられることをテーマにした文献が多い中、本論文は同性愛者同士の関係性に踏み込み、彼らを取り巻く社会的環境に着目して分析されている点が評価できる。筆者は異性愛者の友人が多い者は心情を共有する相手の存在により、他者へのカミングアウトをポジティブにとらえ、少ない者はネガティブにとらえるという仮説の検証を行なっている。テーマ上、インタビューのサンプルを多く得るは難しかったと思われるが、ネガティブにとらえる方の仮説に適合的なサンプルが少なかったため、十分に検証できているとはいえない部分もあった。全体としては丁寧に書かれた論文である。 |
キーワード1 | 同性愛 |
キーワード2 | 男性同性愛者 |
キーワード3 | カミングアウト |
キーワード4 | 自己開示 |
キーワード5 | 親密な関係 |
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