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学科 | 社会学科 |
年度 | 2010 |
ゼミ名 | 尾嶋 史章 |
タイトル | 育児観の変遷 ――育児書研究のレヴューをもとに―― |
内容 | 中世ヨーロッパには現代のような「こども期」は存在していなかった。また家族に今ほどの強い繋がりはなく、家族は共同体の一部であり社会に開けていた。しかし近代化が進むにつれ、家族は社会から距離をとって私的空間を作り始め、子どもに関心を持つようになった。 現代で当たり前になっている家族や母親のあり方、子どもの発達観はいつ生まれたものなのか。その中で「育児観」はどのように変化してきたのか。育児書研究を通して育児観の変遷を追った。 育児観は他の学問や科学の勃興と進歩、国家の労働資源としての子どもの必要性や家族形態の変化など、社会のあり方や変化に大きな影響を受けている。日本では、近代化のもとで育児書は男性向けに書かれた書から、育児を任されるようになった女性のための書になった。その後内容も「育児専門家」が母親たちに「科学」的に裏付けされた知識を伝えるアカデミックな体裁のものから、読者の体験を基盤にした母親の情報共有と共感の場に変化していった。 |
講評 | 14本の卒論が提出されました。テーマは、オンラインゲームにスポーツ政策、世界の幸福感、少年非行、死刑制度、中高一貫校、専業主婦志向など、多岐にわたるものでした。 今年はGPの相互啓発活動の一環として、北海道大学文学部の平沢ゼミと合同ゼミを10月末に行ない、いつもの年とは違った形で進んだ卒論作成でした。合同ゼミの後の私は「適度な緊張感と自負心・愛校心(?)を持ちながら徐々にお互い打ち解けていった結果、通常のゼミ合宿をはるかに上回る効果が得られた」と書いています。それがほんとうに論文としての成果に表れたのかどうかという点に関しては、ゼミ生個々の自己評価に委ねたいと思いますが、経験としては貴重なものでした。 例年優秀作は、4年生のはじめに明確な方向性を定め、着実に積み上げ展開できた論文が選ばれることが多いのですが、今年も結果的にはそうなったようです。Sociologyに掲載される論文は、問題意識という面でも論文の内容や構成という面でも、卒業論文としては非常にレベルの高いものだと思います。他にも優れた問題意識や興味深い資料を扱ったものもあったのですが、データを扱う技能不足から残念ながら当初の目的を達成できないものもみられました。本や論文を読むスキルと併せて、資料整理技法のスキルアップの必要性を特に今年は感じました。 |
キーワード1 | 育児書 |
キーワード2 | 育児観 |
キーワード3 | 母親 |
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