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学科 社会学科
年度 2011
ゼミ名 尾嶋 史章
タイトル 日本の有給休暇 ―フランスとの比較でみた制度的・社会的課題―
内容  本稿では、日本の休暇のありかたを大きく特徴づけている有給休暇の現状を考察し、そこに潜む制度的課題と人々の意識について取り上げている。日本は有給休暇の付与日数が少ないことに加え、その消化率が著しく低く、連続した休暇の少ない国となっている。一方、フランスをはじめ多くの欧州諸国には約1ヶ月に及ぶ長期休暇、すなわちバカンスを楽しむ習慣があり、バカンスは、4~5週間程度付与される有給休暇と、その高い消化率によって実現されている。フランスの人々にとってバカンスは「生きる歓び」であり、生活になくてはならないものとして位置づけられている。
なぜ、日本ではバカンスにみられる「生きる歓び」へとつながるような「休暇」が普及しないのであろうか。日本の有給休暇の消化率の低さに影響している要因について、国際比較を交えつつ、文献を参照しながら考察をおこなった。
バカンスの根底にあるのは、有給休暇制度の成立とその後の発展のなかでフランスの人々が示すようになった「休暇への強い意志」であり、日本においてはこうした意識が社会全体を通して育まれていないのである。日本でも「生きる歓び」としての休暇を享受するには、自ら積極的に「休暇」を意味づけていくことが必要とされるだろう。
講評  今年の卒業論文は、17名という大所帯でした。この17名が、論文の提出受付開始から20分あまりで全員提出しました。例年になく提出準備が万全だったことはゼミ全体として評価されるべきことだと思います。
 中味に関しては、例年のことですが、はじめから方向を定めて着実に積み上げていったものが結果的に成果を得たようです。とりわけ卒業論文集に載った2本の論文は、問題設定が明確で、実証的なデータ(インタビュー)を積み上げていき、設定した問題・疑問に対して回答を求めていく論文の形式ができており、完成度の高いものになっています。他の論文も、卒論としては十分なレベルに達していたものが多かったと思います。ただし、時間の問題もあったかもしれませんが、論文の構成や内容に修正の余地を多く残した論文も若干みられたのは残念でした。

キーワード1 有給休暇
キーワード2 社会意識
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