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学科 | 社会学科 |
年度 | 2011 |
ゼミ名 | 尾嶋 史章 |
タイトル | 国際比較からみる日本の公共図書館 |
内容 | 諸外国にくらべて日本の公共図書館はたいへん貧弱である。この論文では海外の公共図書館と日本の公共図書館を比較し、なぜ日本では公共図書館があまり発達していないのか、その理由を考察する。比較の対象は、デンマークを中心とする。日本と同時期に公共図書館が成立した国でありながら、現在「世界でもっとも成熟した図書館制度をもつ」といわれるデンマークは、比較分析の対象として興味深い事例だと考えたためである。 1章で近代公共図書館成立の経緯について述べ、2章で両国の図書館史を比較し、3章では現在の公共図書館数や蔵書数、図書館費などのデータを検討し、法律・予算・資格制度・状況改善のために公共図書館がおこなっている取り組みについて比較をおこなった。 調査の結果、公立図書館は各々の国の文化や歴史、法律など多くの要素が複雑に絡み合って誕生し成長していくものであることが明らかになった。同時期に同じような経緯で誕生した2国の公共図書館だが、日本とデンマークでは、図書館に対する意識の差がみられた。「自己決定」が重視される社会であるデンマークでは公共図書館は様々な情報と人を結び付ける、人々の生活に不可欠な機関として根付いている。一方日本の図書館はいまだ「本を借りる施設」の域を出ず、人々の生活に根付いているとは言い難い。 こうした図書館に対する認識の差が、デンマークにおいては全ての自治体に公共図書館の設置を求め有資格司書の配置義務を定めるなど有用性の高い図書館法を、日本においては努力規定ばかりで効力の弱い図書館法を生むこととなった。この図書館法の違いとそれを支える人々の意識の差が、日本とデンマークの公共図書館の違いの原因である。 |
講評 | 今年の卒業論文は、17名という大所帯でした。この17名が、論文の提出受付開始から20分あまりで全員提出しました。例年になく提出準備が万全だったことはゼミ全体として評価されるべきことだと思います。 中味に関しては、例年のことですが、はじめから方向を定めて着実に積み上げていったものが結果的に成果を得たようです。とりわけ卒業論文集に載った2本の論文は、問題設定が明確で、実証的なデータ(インタビュー)を積み上げていき、設定した問題・疑問に対して回答を求めていく論文の形式ができており、完成度の高いものになっています。他の論文も、卒論としては十分なレベルに達していたものが多かったと思います。ただし、時間の問題もあったかもしれませんが、論文の構成や内容に修正の余地を多く残した論文も若干みられたのは残念でした。 |
キーワード1 | 日本 |
キーワード2 | デンマーク |
キーワード3 | 公共図書館 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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