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学科 社会学科
年度 2011
ゼミ名 藤本 昌代
タイトル 「ニコニコ動画にみられる“新たな創造性”の要因とは何か」― 「ケロ⑨destiny」の派生動画分析を通して ―
内容  動画共有サイトのニコニコ動画においては,「新たな創造性」を持った活動が多くみられる.「新たな創造性」とは,ニコニコ動画内でみられるN次創造(2次創造に留まらない,3次以上にわたる創造活動)や,協調的な創造活動(多数のユーザーが関わり1人では作成困難なコンテンツを生み出す)などの要因を指す.ニコニコ動画には,タグ機能やコメント機能など,他のサイトにはないシステムが存在し,ある種の特徴を持った動画作品やコミュニティが多くみられる.
 本論は,「ケロ⑨destiny」と呼ばれる曲を元に作られた派生作品の分析を中心として「新たな創造性」の要因を考察した.派生動画作品を分析した結果,「定型化・テンプレート化」を「新たな創造性」の要因であるととらえ,「ニコニコ動画のシステム的要因」「日本における環境的要因」と「インターネット的要因」の3点から,ニコニコ動画における「定型化・テンプレート化」について考察したものである.
講評  本論文は現在も展開され続けている進行形の現象であり、まだ先行研究も少ないインターネット上の多次元派生型コミュニケーションについて取り組んだ意欲作である。インターネット・コミュニティの中でも、これまでのツリー構造状にぶら下がっていくコメントの広がりではなく、1つの作品を多層なレイヤーで展開することが可能な「ニコニコ動画」でのユーザーの利用パターンの展開に着目し、分析を行なっている。
 本研究の対象は、つかみ所がないような広がりを見せる派生した作品が、さらに別の「オリジナル」のような扱いで展開がなされ、縦横無尽に広がる世界観を構成している。本論文はシステムの機能による「定型化・テンプレート化」、連歌のような日本古来の文化に似た形態でコミュニケートする人々の様子、インターネットそのものの特性という観点から、このアメーバーのような現象の要因探求に挑戦している。
 そして、データ収集では、大量の作品群を1本の論文に収めるまでにいくつもの作品を分析した上で、1本のオリジナル作品からの派生状態に絞るという、長時間がかけられている。膨大な20歳代のユーザーを抱え、多くの若者を惹きつけて止まないインターネット・コミュニティでの現象を扱ったものであり、先行研究が少ない分野であることから、後輩の参考になる論文といえよう。


キーワード1 ニコニコ動画
キーワード2 インターネット
キーワード3 オンラインコミュニティ
キーワード4 オンラインコミュニケーション
キーワード5 CGM
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