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学科 社会学科
年度 2008
ゼミ名 小林 久高
タイトル 現代写真論
内容  本稿は写真に関してデジタルカメラの普及した現代における変化も含めて論じている。
 人は記録のためだけに写真を撮るわけではない。では人はなぜ写真を撮るのか。その理由の一つはその光景にもとづく経験を象徴的に自我に取り込むためである。そしてそれらが自らの過去や物語を作る大きな材料になる。
 そしてもうひとつの理由は記憶や知覚を共有するためである。そしてそれらを共有する人たちとも物語を共有していく。
 これらの二つの理由を軸に現代における写真を撮るという行為がどのように変化しているかをデジタル化をキーワードに述べている。デジタル化によって写真は物質ではなく即時的なものへと変化していった。そこから見えてくることは単なる写真の変化だけでなく、自己の内部にも変化をもたらすことである。
写真のデジタル化は単なる記録方法の変化ではなく、自己や自らの物語そして我々の生き方の変化でもある。写真のデジタル化は物語や記憶を奪い去っていき、我々の自己同一性をも奪っていくのだ。
講評  本年度の卒業論文については、内容の多様性が特徴としてあげられるだろう。計量分析、フィールドワーク、概念的検討、小説の分析、文献研究と、用いられている方法は多様であり、各自自らの方法に基づきロジカルに論を展開し、それなりの結論を導き出している。飛びぬけてよくできているものはなかったが、問題外といったものもない。ただ、興味深いアイデアを含んでいる論考が数点あり、もう少し手をかけていればかなりいいものになったと予測できる。「時間切れ」がやや残念である。
キーワード1 写真
キーワード2 デジタル化
キーワード3 物語
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