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学科 社会学科
年度 2008
ゼミ名 小林 久高
タイトル 現実感について ――曖昧な概念の精緻化――
内容 本稿では、言葉として実際に使用され、それをめぐって研究がなされながら、曖昧である「現実感」という概念について考察する。まず、現実感の言語的な定義を検討する。工学分野である人工現実感の研究や精神医学における定義を基にして、「自分や外界といったある事象について、それが現実のものであるとする感じ」だと現実感を規定した。
 続いて、概念として現実感には「知覚」「関心・注意」「真であるという判断」「信念」「当事者性」「強い有意味性、重要性、必要性を見出していること」という性質があることを見出した。また、現実感の類型化を直接的な事象、伝聞した事象、想像という3点から試みる。さらに、現実感のある状態とない状態、そして現実感がある状態の要件を満たしながら現実感が把握されない状態である「把握されない現実感」について考察した。さらに、ある類型の現実感の有無がどのように現れるかということについても考察を行った。
 筆者は現実感について、何を現実だとするかということに深く関係しているために、様々な行為をするさいの基盤となるものと捉えている。そのため、この概念を精緻化し、それによる分析が進められるように試みたのである。
講評  本年度の卒業論文については、内容の多様性が特徴としてあげられるだろう。計量分析、フィールドワーク、概念的検討、小説の分析、文献研究と、用いられている方法は多様であり、各自自らの方法に基づきロジカルに論を展開し、それなりの結論を導き出している。飛びぬけてよくできているものはなかったが、問題外といったものもない。ただ、興味深いアイデアを含んでいる論考が数点あり、もう少し手をかけていればかなりいいものになったと予測できる。「時間切れ」がやや残念である。
キーワード1 現実感
キーワード2 概念分析
キーワード3 認知と行為
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