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学科 | 社会学科 |
年度 | 2008 |
ゼミ名 | 小林 久高 |
タイトル | 電柱の社会学 ――地中化率を国民意識の差から考える―― |
内容 | この論文では、配電線及び電線地中化の歴史と現状を提示した後、欧米と比べた時日本の電線地中化率が著しく低いことの原因はどこにあるのかということを論じている。ただし、異国からの脅威にさらされ、また戦争へと向かう情勢の中で経済的・時間的余裕がなかったことは容易に想像できるため取り上げることはしなかった。この論文で原因として取り上げたのは、日欧間、特に日本とフランスを比べた時に見えてくる都市形成過程の違いと都市空間のとらえ方の差、第二次世界大戦後の国民的アイデンティティーの差、風景観の差、そして私的領域の露呈に対する抵抗感の違いである。 こういった違いを検証していくと、欧米人が、日本人より都市というものに景観面での注意を払っていたということが見えてきた。架空線による電線が引かれることにより、都市の景観が損なわれてしまうことを欧米人は嫌ったようである。 そして最後に、それまで論じてきた日欧間の違いを元に、日本の地中化率が今後どんどん欧米並みに上がっていくのではないかという筆者の意見を述べた。 |
講評 | 本年度の卒業論文については、内容の多様性が特徴としてあげられるだろう。計量分析、フィールドワーク、概念的検討、小説の分析、文献研究と、用いられている方法は多様であり、各自自らの方法に基づきロジカルに論を展開し、それなりの結論を導き出している。飛びぬけてよくできているものはなかったが、問題外といったものもない。ただ、興味深いアイデアを含んでいる論考が数点あり、もう少し手をかけていればかなりいいものになったと予測できる。「時間切れ」がやや残念である。 |
キーワード1 | 電線地中化 |
キーワード2 | 都市形成過程 |
キーワード3 | アイデンティティー |
キーワード4 | 風景観 |
キーワード5 | 私的領域 |
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