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学科 産業関係学科
年度 2011
ゼミ名 阿形 健司
タイトル 英語教育と英語力の因果関係―日韓の英語教育から考察する―
内容  2011年度から小学5・6年生を対象にした、週1回の英語の授業が必修化されている。文部科学省は、昭和60年代から約20年間の議論を尽くして新設したものだと説明しているが、必修化の背景には近年の低迷する日本経済と対照的に隣国の急激な経済成長、芳しくない国際学力調査の結果に対する焦りが伺える。しかし、英語力には本当に学校教育機関における英語教育が関係しているのだろうか。本論文では、日本より英語力が高いと言われる韓国を取り上げて、日本と韓国の英語力と英語教育の実情を研究し、英語力と英語教育の因果関係を考察した。
 その結果、英語教育と英語力には一定の因果関係が認められるが、現段階の日本の英語教育課程では英語力向上の効果を期待するのは難しいことが分かった。同時に、韓国における被教育者側の英語教育に対する大きな需要の議論抜きに日韓の英語力の比較を行い、その差を単純に英語教育に帰着させることの危険性が明らかになった。日本は、国家戦略として英語力の向上を英語教育改革を通して行うのであれば、日本独自の英語教育の形を模索し続ける必要がある。
講評  今年度の卒業論文は、広い意味での雇用・労働に関わるテーマが大半であった。それは、(1)高等学校におけるキャリア教育の普及条件の探求・学生の就職活動における戦略的行動の社会学的分析・若年労働言説の批判的検討といった、労働への入り口における問題を扱った論文、(2)日本人の長時間労働についての多角的検討・正規雇用女性内の分化を規定する要因・中高年非正規雇用者への支援政策の評価・高齢者が就労継続をする理由の探求といった、どちらかといえば労働者に視点をおいた論文、(3)マネジメント理論の整理を通じた人間らしい労働を実現するための条件の探求・組織におけるフォロワーシップの可能性の探求といった、どちらかといえば経営者に視点をおいた論文である。これらの他に、(4)日韓英語教育の比較検討・地域ブランドと地産地消との関連の比較分析というテーマを扱った論文があった。
 いずれの著者も自らの疑問にこだわって問題意識を洗練させ、資料を集め、文献を読み込み、調査を実施してテーマに真摯に取り組んだ結果、一定水準の作品を完成させることができたといえよう。もちろん、考察が一部不十分であったり、主張の根拠が必ずしも明白ではなかったり、論理展開に飛躍があったりといった課題が残されているのは確かである。卒業して社会人となれば、卒業論文のテーマを別の角度から考える機会も生まれてくるだろうから、職業生活のなかで残された課題について思考をめぐらせ続けていってほしい。
キーワード1 英語力
キーワード2 英語教育
キーワード3 日韓
キーワード4 新学習指導要領
キーワード5 2007年改訂教育課程
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