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学科 産業関係学科
年度 2011
ゼミ名 阿形 健司
タイトル マネジメント理論から考える人間らしい労働
内容  バブル経済崩壊後の不況対策により、企業は金銭的報酬やポスト等これまで労働者がモチベーションとしてきたものの提供が不可能となり、労働者にモチベーションの低下をもたらした。近年、このモチベーションの低下回復のために、「仕事そのもの以外」から作り出していたモチベーションを「仕事そのもの」から生み出すMBO(目標管理)というマネジメントが注目を浴びている。しかし、今、企業が実践するMBOは成果主義に取り込まれている。本来、労働者のために考えられた人事制度が、企業の誤った解釈により、生産性を上げるための効率的な制度と化し、労働者を追い込んでいる。そこで、本論文ではモチベーションという働く上で欠かせない要因におけるマネジメント理論を追究することを通じて、今後の日本における「人間らしい労働」の在り方を探った。
 そして、その結果、経営者と労働者の相反する欲求を満たす魔法のようなマネジメントは存在し得ず、私達は「人間らしい労働」という実現不可能な理想像について絶えず考え、実践していくことで「人間らしい労働」により近づくことが出来るのだと理解した。MBOというマネジメントの実践も人間らしい労働へ近づく一つの手段なのである。
講評  今年度の卒業論文は、広い意味での雇用・労働に関わるテーマが大半であった。それは、(1)高等学校におけるキャリア教育の普及条件の探求・学生の就職活動における戦略的行動の社会学的分析・若年労働言説の批判的検討といった、労働への入り口における問題を扱った論文、(2)日本人の長時間労働についての多角的検討・正規雇用女性内の分化を規定する要因・中高年非正規雇用者への支援政策の評価・高齢者が就労継続をする理由の探求といった、どちらかといえば労働者に視点をおいた論文、(3)マネジメント理論の整理を通じた人間らしい労働を実現するための条件の探求・組織におけるフォロワーシップの可能性の探求といった、どちらかといえば経営者に視点をおいた論文である。これらの他に、(4)日韓英語教育の比較検討・地域ブランドと地産地消との関連の比較分析というテーマを扱った論文があった。
 いずれの著者も自らの疑問にこだわって問題意識を洗練させ、資料を集め、文献を読み込み、調査を実施してテーマに真摯に取り組んだ結果、一定水準の作品を完成させることができたといえよう。もちろん、考察が一部不十分であったり、主張の根拠が必ずしも明白ではなかったり、論理展開に飛躍があったりといった課題が残されているのは確かである。卒業して社会人となれば、卒業論文のテーマを別の角度から考える機会も生まれてくるだろうから、職業生活のなかで残された課題について思考をめぐらせ続けていってほしい。
キーワード1 モチベーション
キーワード2 マネジメント
キーワード3 MBO
キーワード4 人間らしい労働
キーワード5  
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