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学科 産業関係学科
年度 2011
ゼミ名 阿形 健司
タイトル 中高年の非正規雇用者支援~就職氷河期世代を中心に~
内容  バブル崩壊以降の経済停滞により、現在まで年々非正規雇用者が増加している。その原因として各企業に採用方針の変化が生じたことが挙げられる。各企業は人件費削減のため正社員の新規採用を抑え、雇用調整のしやすい非正規雇用者を雇うようになった。
 本論文では中でも就職氷河期世代の人々に注目したい。就職氷河期(1993年頃~2005年頃)に卒業し、非正規雇用として社会に出た人々が、その後正社員になることができないまま35歳を迎え、中高年フリーターへと移行した。一度フリーターとして社会に出てしまうと職業能力形成の機会に恵まれず、年齢を重ねるごとに正社員になることが難しくなるという現実がある。中高年フリーターの増加は税収の減少、社会保険料収入の減少、消費や貯蓄の減少、少子化といった社会への影響を及ぼす。このような人々の正社員化を進めるため、ジョブ・カード制度、トライアル雇用、年齢制限の撤廃の義務化といった取り組みが行われている。しかし、それぞれの政策について課題が多いことが明らかになった。
講評  今年度の卒業論文は、広い意味での雇用・労働に関わるテーマが大半であった。それは、(1)高等学校におけるキャリア教育の普及条件の探求・学生の就職活動における戦略的行動の社会学的分析・若年労働言説の批判的検討といった、労働への入り口における問題を扱った論文、(2)日本人の長時間労働についての多角的検討・正規雇用女性内の分化を規定する要因・中高年非正規雇用者への支援政策の評価・高齢者が就労継続をする理由の探求といった、どちらかといえば労働者に視点をおいた論文、(3)マネジメント理論の整理を通じた人間らしい労働を実現するための条件の探求・組織におけるフォロワーシップの可能性の探求といった、どちらかといえば経営者に視点をおいた論文である。これらの他に、(4)日韓英語教育の比較検討・地域ブランドと地産地消との関連の比較分析というテーマを扱った論文があった。
 いずれの著者も自らの疑問にこだわって問題意識を洗練させ、資料を集め、文献を読み込み、調査を実施してテーマに真摯に取り組んだ結果、一定水準の作品を完成させることができたといえよう。もちろん、考察が一部不十分であったり、主張の根拠が必ずしも明白ではなかったり、論理展開に飛躍があったりといった課題が残されているのは確かである。卒業して社会人となれば、卒業論文のテーマを別の角度から考える機会も生まれてくるだろうから、職業生活のなかで残された課題について思考をめぐらせ続けていってほしい。
キーワード1 中高年フリーター
キーワード2 就職氷河期
キーワード3 ジョブ・カード
キーワード4 非正規雇用
キーワード5  
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