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学科 産業関係学科
年度 2011
ゼミ名 阿形 健司
タイトル 高齢者と就労 ―なぜ高齢者は働き続けるのか―
内容  日常生活において、高齢者が働く姿をよく見かける。ガードマンや駐輪場の管理者、清掃員など、高齢者が働くことは今や何の違和感もない光景だ。しかし、なぜ彼らが高齢になっても働きたいと考えているのか不思議に思う。そこで、本論文では高齢者の就労について社会的背景や主観的側面(高齢者自身の思い)、客観的側面(社会・企業からの見方)という三つの視点から研究した。
 その結果、少子高齢化や社会保障制度の変更を確認でき、それに対応するように「高年齢者雇用安定法」を改正したという社会の動きが明らかになった。また、高齢者は経済問題や勤労観、生きがいという理由をもとに働く傾向にある。さらに、高齢者を雇用することは企業からマイナスに考えられている場合もあるが、プラスの一面もあるようだ。社会とのつながりにおいては、高齢者雇用の増大と若年者雇用の縮小との関連について言及したが、必ずしも関連があるとは言えなかった。「なぜ高齢者は働くのか」という疑問から発展したこの研究を通して、「高齢者が働くこと」について幅広く考察することができたと思う。
講評  今年度の卒業論文は、広い意味での雇用・労働に関わるテーマが大半であった。それは、(1)高等学校におけるキャリア教育の普及条件の探求・学生の就職活動における戦略的行動の社会学的分析・若年労働言説の批判的検討といった、労働への入り口における問題を扱った論文、(2)日本人の長時間労働についての多角的検討・正規雇用女性内の分化を規定する要因・中高年非正規雇用者への支援政策の評価・高齢者が就労継続をする理由の探求といった、どちらかといえば労働者に視点をおいた論文、(3)マネジメント理論の整理を通じた人間らしい労働を実現するための条件の探求・組織におけるフォロワーシップの可能性の探求といった、どちらかといえば経営者に視点をおいた論文である。これらの他に、(4)日韓英語教育の比較検討・地域ブランドと地産地消との関連の比較分析というテーマを扱った論文があった。
 いずれの著者も自らの疑問にこだわって問題意識を洗練させ、資料を集め、文献を読み込み、調査を実施してテーマに真摯に取り組んだ結果、一定水準の作品を完成させることができたといえよう。もちろん、考察が一部不十分であったり、主張の根拠が必ずしも明白ではなかったり、論理展開に飛躍があったりといった課題が残されているのは確かである。卒業して社会人となれば、卒業論文のテーマを別の角度から考える機会も生まれてくるだろうから、職業生活のなかで残された課題について思考をめぐらせ続けていってほしい。
キーワード1 高齢者雇用
キーワード2 年金
キーワード3 定年
キーワード4 高年齢者雇用安定法
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