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学科 産業関係学科
年度 2011
ゼミ名 上田 眞士
タイトル 少子化は悪なのか
内容  これまで「少子化」という言葉を耳にすると、マイナスのイメージを膨らませる悪い問題であると認識してきた。そして少子化によって、人口減少による経済成長の鈍化や年金制度の崩壊などの危機を及ぼすことのなるというように学んできた。そこで私は、「少子化」は早急に防がねばならない問題であるのか、またこれまでの少子化対策は正しかったのかという疑問をもった。
 少子化の要因は、未婚化・晩婚化と経済的に出産が困難である状況が大きな理由として考えられる。日本では、結婚してから子どもを生もうとする人が大半であり、その結婚する年齢が遅くなっているために子どもの数が減っている。また子どもを生みたくても経済的に子どもを育てていくのが難しいという理由から子どもの数が減り、少子化が進行している要因であると考えられる。
 そこでこれまでの少子化対策を見てみると、子育て支援や仕事と家庭を両立できる環境づくりなどの男女共同参画社会の実現に重きを置いているものであった。
しかし、それに対する反対意見も存在する、赤川〔2004〕は少子化対策として男女共同参画社会の実現は効果がないと指摘し、子どもを生むのは夫婦個人の選択に委ねられるべきだと主張している。私はこれに賛同した。いかに少子化対策しようとも、子どもを生むか産まないかは夫婦が決めるべきものである。少子化が進行したとしても、それを受け入れた上で今後の政策展開を考えていくことが大事なのである。
講評  卒論テーマについては「できうる限り,広く雇用社会のありように関わる事柄から選択するように」,年度のはじめにそうした土俵の設定を行いました。提出して貰った論文テーマを列挙してみると,「未婚化や少子化対策」「若年者の雇用問題」「非正規雇用と格差社会」「ベーシック・インカムの可能性」「拡大する日本の貧困問題」「銀行業務とホスピタリティ」「看護師の労働と転職」等々となっています。これらのテーマを一瞥しただけで,現代日本の雇用社会のありようや,その抱える問題が浮かび上がってきます。卒論作成という課題に対して,ゼミ生皆が誠実に取り組んでくれた結果である,基本的にそのように考えて良いでしょう。しかし,その上で卒論を読んでみて,いくつか頭に想い浮かんできた事柄もあります。どういう論文が良い論文なのか,私なりに大事だと思うポイントを二つほど記しておきたいと思います。

一つには,論文の内容にかかわって,「批判的」な研究であって欲しい,そうした要望です。現代の雇用社会の住人である我々が,その雇用社会の一断面を取り上げ,現に存在するものを正面から受け止めようとするわけだから,そこでは必ず何らかの課題意識や問題意識が生まれてくるはずです。そうした現実に対して抱く緊張感を,論理的に整序して記述しようする姿勢が,論文にとってはかなり大事なことだと思います。本質的に批判的な学問であること,それが社会科学の生命線だという命題は,決して私一人の独善ではありません。それから,いま一つは,論文の基本的な作法についての事柄です。言いたいことは,自らが設定した「対象」と,それに対して分析や論評を加えていく「自分」,この二つの距離感を論述に際してはきちんと保って欲しい,それがしっかりとした記述かどうかを分かつ大事なポイントとなるだろうということです。例えば,企業や経営を対象とする場合,その企業経営の目線や言葉は,言うまでもなくビジネス=「実践」の世界の目線や言葉です。他方,論文での目線や言葉は,それとは異質な「学問」の目線や言葉でなくてはならないでしょう。たしかにその他にも論文には,幾つかの重要な叙述の形式がありますが,以上の基本が確保できていれば,後は技術的な問題ということになると思います。

とはいえ,「言うは易く行うは難し」というのが,先人の残した金言です。はじめて書く論文である卒論を,私なりに大切だと思う上述の二点を基準に,ばっさりと裁断したつもりは全くありません。論文を執筆する際の「心がけ」だと考えて欲しい,そのように思います。
キーワード1 少子化
キーワード2 男女共同参画社会
キーワード3 少子化は悪ではない
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