内容 |
現在の日本には知的障害児(者)に対する様々な偏見や差別が存在している.そのような偏見や差別を解消し,知的障害理解を促進する有力な手段の1つとして知的障害児と健常児の交流があげられる.教育場面においても障害者基本法の改正に伴い,交流教育が障害理解の促進,「共生社会」実現のために重視されている.しかし現在の交流教育や統合教育が本当に知的障害理解を促進できているのだろうか.本論文では先行研究やアンケート・インタビュー調査等から本当の障害理解とは何かを明らかにし,知的障害理解を促進していくための交流・統合教育のあり方について検討した.その結果表面的理解ではなく,感情面での受容と「人としての理解」が障害理解の根本であると考えた.また,知的障害理解促進のために包含の視点を取り入れた参加,適切な支援者の介入,体験と学習を結びつけた交流が重要で,共生を軸に据えた教育を行っていく必要があると結論付けた. |
講評 |
現在の交流教育や統合教育が本当に知的障害理解を促進できているのだろうかという、素朴な問題意識をもち、これを先行研究やアンケート・インタビュー調査等から明らかにし,知的障害理解を促進していくための交流・統合教育のあり方について検討した、力作となった。結論は、表面的理解ではなく,感情面での受容と「人としての理解」が障害理解の根本であると考え、知的障害理解促進のために包含の視点を取り入れた参加,適切な支援者の介入,体験と学習を結びつけた交流が重要で,共生を軸に据えた教育を行っていくことの重要性を、実証的データによって明らかにしたといえる。これは学部の卒業論文としては卓越したものとなったと思います。よくがんばりました。 |