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学科 | 社会学科 |
年度 | 2008 |
ゼミ名 | 立木 茂雄 |
タイトル | なぜ「ニート」という言葉が流行するのか ― 二極化した「ガンバリズム信仰」と「信仰」告白としての「ニート」 ― |
内容 | 今日の問題を読み解く鍵のはずの「ニート」という言葉が、その機能を離れて複雑な「流行」を見せている。背景にある日本社会の心理への分析を試みた。 雨宮処凛による労働問題における心理的な面での構造的な齟齬への指摘を出発点として、日本の労働に関する社会背景を主にマックス・ヴァーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」と山田昌弘「希望格差社会」における視点に立って分析した。 世論調査において「去年と比べた生活の向上感」と「生活の程度」という質問への近年の回答傾向の差異に注目し、「格差」への失望と実感がありながら「中の中」という「一億総中流」傾向を保持続ける日本人の自己認識に注目した。 心理の乖離を担保する理由として、近代資本主義に必要な「資本主義の精神」を、日本人は教育制度における「パイプライン・システム」という「予定説の代替品」によって養った結果、「福音」を求める宗教的態度を潜在的に身に付けたからだと解釈した。 以上の視点から「ニート」問題を再解釈した。「フリーター」問題と「ニート」言説が強い相関と同時に乖離を併せ持つのは、両者が「パイプライン・システムの漏れ」から発生した問題でありながら、前者が世俗的価値基準によるのに対し、後者が潜在的に「善」や「信仰」という問題を含むからだと分析した。 また、「ネオリベラリズム」を志向する「中の上」傾向の台頭は「一億総中流ガンバリズム」から「原理的ガンバリズム」が分派した結果と分析した。 そして「ニート」という言説は、日本社会においても潜在的に宗教的倫理が存在する事を表明する「信仰」告白として機能していると結論した。 |
講評 | 本年度は16本の卒論が執筆されました。その内訳を大別すると、大きく4つのグループに分かれました。(1)家族社会学に関する実証・文献研究が5本、(2)社会学的自己論に関する実証研究が4本、(3)防災および防犯に関する実証研究が4本、(4)その他が3本(NPO内の人間関係、芸術家の社会関係、知識社会学的理論研究)でした。どの研究も3回生の終わりには先行研究のレビューを済ませ、就職活動の合間を縫うようにして現場でデータを集め、関連研究をフォローし、論を理組み立てるといった作業を精力的におこなった力作がそろいました。 |
キーワード1 | ニート |
キーワード2 | 予定説の代替品 |
キーワード3 | 二極化 |
キーワード4 | |
キーワード5 | |
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