詳細 | |
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学科 | 社会学科 |
年度 | 2012 |
ゼミ名 | 鵜飼 孝造 |
タイトル | 電子書籍と個人制作コンテンツ |
内容 | 近年の電子書籍ブームはすさまじい。2010年には「電子書籍元年」という言葉が生まれたように、日本における電子書籍への取り組みはますます活性化している。特に個人制作によるコンテンツという立場において電子書籍は魅力的なメディアで、小説や漫画作品を制作・配布することがこれまで以上に簡単なものになると予想されている。また「Appstore」や「Kindle Store」などの電子書籍販売サービスを利用することで、趣味としての個人制作の枠を越えて、いとも簡単に著作を電子出版することができるようになった。しかし、利点ばかりではなく、大きな問題点も存在する。他のコンテンツやメディアでは既に兆候が見られているが、個人制作が活性化することでプロ、アマやジャンル、作品の良し悪し含めたあらゆる作品が入り乱れるコンテンツの氾濫現象につながる恐れがあるといえる。コンテンツ産業について語る上で、個人制作の活性化はコンテンツ産業それ自体もより発展させるという意見が多くあるが、この現象はそれとは全く逆、個人制作によってコンテンツ産業が衰退する事例となりうる。そこで本論文では電子書籍における個人制作を題材に、この現象に迫りたい。 |
講評 | 一見、さらっとまとめられているようでいて、読み返してみると、細部まで書き込んである綿密な論文である。読みながら考えさせられたことは、私たち教員がおこなう講義や執筆する論文もまた「個人製作コンテンツ」そのものではないかということである。今や紙とペンでそれを執筆する人はほとんど存在せず、本来、即座にKindle Storeで販売されてもいいレベルであるべきだ。 講義の録音が聴き手の好む声優の声に変換されたり、ニコ動で同時中継されたり、あるいはお気に入りのイラスト入りで二次著作が出まわる事態は可能なはずだが、幸か不幸かそのような話をほとんど聞いたことがない。本論の著者は、個人製作コンテンツが氾濫して、その質が低下することを危惧しているが、そもそも、オリジナルの価値が高くなければ意味のないことだろう。 |
キーワード1 | 電子書籍 |
キーワード2 | 個人制作コンテンツ |
キーワード3 | 電子出版 |
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