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学科 社会福祉学科
年度 2012
ゼミ名 山田 裕子
タイトル 精神障害者のそれぞれの自立 -就労継続支援B型事業所で実践記録から-
内容  一般的に、個人の自立=就労であると考えられている。「働かざる者食うべからず」という諺があるように、それは日本人の価値観に浸透している。
 一方病気や、障害のために、働くことができない人も確実にいる。
 自立=就労という考え方は、そのような人々にとって、病気や障害の苦しみの上にさらに重くのしかかる。
 昨今では国が就労支援に力を注いでいるが、自立=就労の価値観を強化する側面もあるかもしれない。就労支援は、必要な配慮のなさや、偏見などによって就労が叶わない病気や障害を持つ人にとっては、必要なものであるが、病気や障害のために就労が困難な人々を軽視するものであってはならない。
 本論文では、実際に就労継続支援B型の事業所で行われている状況の異なる3人の精神障害をもつ利用者の活動を観察し記述することで、精神障害を持つ人の自立のあり方を検討する。
講評  筆者は4回生の夏の精神保健福祉実習の後に、実習現場で出会った精神障害者について、精神疾患という病を持つ人にとって、就労が「自立」を意味するのか、それが最終目標なのか、ずっと考え続け、この卒業研究で追及しました。働き中毒気味な日本人の価値観から、「働くこと」や「就労」が病気や障害を持つ人に対しても当然のこととして目標と設定されることに対して、根本的な疑問を抱いて、実践記録を読み解いた力作です。戦後の法整備を概観し、精神障害者の支援が、世の中の秩序維持を主目的にした管理的なものから、人権の尊重へと比重を移していることを踏まえ、それにそって、サービスの内容も生活支援にも相当の力点がおかれるようになったことも指摘していまし。その上で、具体的に3人のケース記録から、それぞれの病態や生活状況、意思表示をスタッフが読み取り、それぞれの納得のゆく自立のあり方を実現してゆくプロセスを分析しました。一人一人に生活の課題と価値観があり、それが「自立」のありようを多彩にしていること、それを理解し、尊重して、支援を進めているスタッフから、多くを学び、それまでの一律な「自立」の見方から1歩踏み出した作品です。
キーワード1 「精神障害」
キーワード2 「精神障害者就労継続支援B型事業所」
キーワード3 「自立」
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