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学科 | 社会福祉学科 |
年度 | 2012 |
ゼミ名 | 山田 裕子 |
タイトル | 高齢者介護の場における 応用行動分析学的視点を用いた支援 |
内容 | 認知症高齢者が増加する中で,介護者にとってBPSD(周辺症状)が大きな負担となっている. 日本における認知症高齢者については多くの研究がなされてきたが,介護の現状や問題点を明らかにする後向きのものが多く,介護技術の向上を目的に,介護方法とその効果を仮説立てして検証する,という具体的な方法論に基づいた実践研究は少ない. そこで,本論文では,諸外国で多く報告されている行動分析学を用いた高齢者への実践的研究をまとめ,その有用性を検討することを目的とした. その結果,個人の現在の行動を受け入れ,その現状からどのように進んでいくのかを建設的に考えることができる行動分析学は,対象者本人にとっても援助者にとっても前向きで積極的なアプローチだといえ,行動分析学的視点を介護現場に導入することは,介護者によるセルフモニタリングを可能とし,介護の質を向上させることができる可能性があるといえるが,介護者の理解や在宅高齢者への援用といった課題がみられた. |
講評 | 筆者は応用行動分析学・認知行動療法の高齢者への適用を、日本で発表された論文を中心に探求しました。これは、スキナーの学習理論に基づき、欧米、とくにアメリカではうつ病やその他の精神障害を持つ人の精神療法としてもちいられたもので、不安、ストレス関連障害、パーソナリティ障害、摂食障害などで効果をあげたことが報告され、近年日本でも取り入れられてきました。高齢社会では、認知症をはじめとする健康の問題が家庭内や施設内で、介護者を苦しめていることから、筆者は高齢者のいわゆるBPSDに対し、行動の原因ではなくむしろその行動の後に起こる環境の変化などの出来事に働きかけることで、QOLの高い行動の増加、QOLの低い行動の減少への効果に期待を寄せています。ただし、問題とされる行動が誰にとって問題なのかと問う倫理的な観点の強調を忘れませんでした。高齢者のwell-beingに繊細で共感的な視点と個々人の行動への綿密な観察が求められるのは、Kitwoodのパーソンセンタードケアでwell-beingとill-beingを観察によって見分ける技量が求められたのと同じであり、この技法にも、高齢者とケアの倫理的、哲学的な姿勢に立脚することが要請されます。綿密な探求です。これからも追及する意気込みが感じられました。 |
キーワード1 | 「認知症高齢者」 |
キーワード2 | 「介護」 |
キーワード3 | 「行動分析学」 |
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